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ー トンデモ通報の中身
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ー “不審者”にされないために

《学校から帰宅後、小学校中学年の男子児童2名がマンション内のエレベーターで女に「春休みはいつから?」と声をかけられたという事案が発生しました。児童は無視をして逃げ実害はありません》

《小学校低学年女子児童が公園のベンチに座っていた男から「何年生?」と声をかけられる事案が発生しました。女児は顔を知られたことが怖く、逃げました。警察へ連絡しました》

 これらはいずれも東京都内某所の地区の不審者情報である。
 
 春から新入学のお子さんを持つ保護者は、この時期になると地区情報アプリ(またはメール)に入会することになる。紙のお便りが廃止されつつある中で、便利なツールと受け止められている一方、不審者情報が保護者の間で“要らない情報”となっているという。

トンデモ通報の中身

 不審者情報とは、子どもを犯罪から守るべくその地区の警察や自治体、教育委員会などにより発信されている。地域を登録しておき、メールで届くものが多い。防犯に役立つようにも思えるが、小学1年生の子を持つAさんをはじめ、これらの不審者情報に疑問を持っている保護者は多い。

「娘が昨年から小学校に入学した際に、防犯アプリに登録したのですが、毎日のように不審者情報が送られてきます。学校の行事やお知らせなどの大切な情報もアプリで通知されるので、必ず確認するのですが、それがこのような内容だと呆れてしまいます。だってこれって不審者とはいえないですよね」(Aさん)

 と、その情報に疑問を呈する。子どもを持つ親にとって不審者情報は共有しておきたい。しかし、不審者の基準に違和感があるという。

例えば冒頭の“春休みを聞いた女”というのは、そのあとに書かれている情報を見ると70歳から80歳の女、とありました。これは普通に孫に話しかける感じで春休みはいつ? と聞いただけだと思うんです。ベンチで何年生? と聞いた男というのも70歳から80歳男ということでした。

 隣に座ってきたから声をかけるというある種、安心させようとして声かけしたのでは、と思ってしまいます。違和感を覚えるのは、これらはいずれも子どもが親に報告し、親が学校なり警察なりに連絡している点です。私だったら子どもが怖がっていたら“怖くないよ、不審者じゃないよ”と伝えますが」(Aさん)

 過去1年以内に関東近郊の某地区に届いた小学生の子どもを持つ保護者への不審者情報を見てみるとーー。

帰宅途中の高学年男子児童3名が「○○さんの家はどこですか?」と後ろから来た女に聞かれる事案が発生。男児ら3名は走って逃げて無事でした

 道を聞いただけではないのだろうか。

《スーパー○○の踊り場で座っていた中学年女子児童2名に「何しているの?」と女から声をかけられる事案が発生。女児らは店員に助けを求めに行ったところ、女はすでにいなくなっていて無事でした》

 階段に座っているのを注意しようとしただけとも思える。