運動にがん予防効果はない

 仕事や運動などで身体活動量が高い人ほど、確実に大腸がんの発症リスクを減らすことが国際的な研究評価で報告されています。ほかにも、乳がんや子宮体がんでも、運動による予防効果の可能性が高いといわれています。

 日本人の研究では、男性では大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、女性では胃がんの発症リスクが日々の運動によって低下することが報告されています。

 運動は、がんだけでなく心疾患のリスクも下げるので、日常生活の中で無理のない範囲で身体を動かす時間を増やしていくことはとてもいいことです。

 具体的な運動の目安は、65歳までの人は、毎日60分のウォーキング、ほかに息がはずみ、汗をかく程度の運動を1週間に60分は行うことが推奨されています。

 65歳以上の人は、無理のない範囲で歩行レベルの運動を毎日40分ほど行うことがすすめられていますので、ぜひ、がん予防のためにも習慣にしてみてください。

実例コラム:「45歳男性、会社員のBさん」

 検診に選択肢があるなんて……。

 毎年、会社の健診で胃のバリウム検査をやっているBさん。バリウムを飲んで台の上でぐるぐる回されるのが苦手だったが、胃がん予防のために仕方ないと思っていた。ところが……、

「友人と健康診断の話になったときにバリウムを飲んでると言ったら、『まだバリウムなんてやってるの?』と笑われてしまったんです。よく調べてみたら、自治体で受ける検診は胃カメラも選べるとわかって、驚きました」

 Bさんの会社の健診の場合はバリウムと胃カメラのどちらかを選ぶことができないため、来年からは人間ドックを受けるつもりだという。

「てっきりバリウムを飲むのが当然だと誤解していましたよ。よく調べないとダメですね」

大場大先生●東京目白クリニック院長。外科医・腫瘍内科医。がん研有明病院、東大病院勤務を経て開業。順天堂大学病院の講師も兼任。
大場大先生●東京目白クリニック院長。外科医・腫瘍内科医。がん研有明病院、東大病院勤務を経て開業。順天堂大学病院の講師も兼任。
教えてくれた人……大場 大先生●東京目白クリニック院長。外科医・腫瘍内科医。がん研有明病院、東大病院勤務を経て開業。順天堂大学病院の講師も兼任。

(原稿協力/冨田ひろみ)