人や出来事と多くの時間を過ごせたからこそ、今の私がある

 そう──。それくらい夢中になって語ってしまいたくなるものが、私の人生にはたくさんあった。

 バカみたいにお酒を飲んだことも、友情を仕事にして(岸田)今日子ちゃん、(吉行)和子っぺと旅行に出かけたことも、山崎努や杉浦直樹といった俳優仲間たちと野球チームを作ったことも、ペコ(大山のぶ代)と銭湯通いの青春を過ごしたことも、全部、楽しかった。

 私はよく「記憶力がすごいですね」と言われるけど、私の記憶力がすごいんじゃなくて、それだけ周りにいた人たち、起こった出来事が鮮明だっただけ。

 山城新伍ちゃんや石立鉄ちゃん(鉄男)、一緒に欧州周遊をした小林千登勢、今でも電話で安否確認をし合う仲の加賀まりこ──。色褪せない人や出来事と多くの時間を過ごせたからこそ、今の私があるのだと思う。

 特別なことなんて必要ないのよ。雀(ずすめ)百まで踊り忘れず。趣味や、ささいな付き合いだって、十分楽しめるもの。

 実際、私は大谷翔平選手の大ファンだから、年もわきまえず、友達にもらったエンゼルスの赤いトレーナーを着て出かけている。テレビやスポーツ紙を通じて、彼の活躍に跳びはねたり、頭を抱えたりしている。どう楽しむか、それは自分次第なのよ。

 もちろん、人生は楽しいことばかりじゃない。この連載でも触れた私の結婚生活などは、決して楽しめるものじゃなかったけれど、思い出すと結構笑えます。

 過ぎてしまえばみんな過去。自分にとって好きなものをたくさん見つけてくださいね。それが、人生の健康法だと思います。

(構成/我妻弘崇)

PROFILE……冨士眞奈美(ふじ・まなみ)●静岡県生まれ。県立三島北高校卒。1956年NHKテレビドラマ『この瞳』で主演デビュー。1957年にはNHKの専属第1号に。俳優座付属養成所卒。俳人、作家としても知られ、句集をはじめ著書多数。