味わったことがない不思議な感覚でした

 ドラマは直木賞作家、中島京子の原作を映像化。シングルマザーの保育士、ミユキ(優香)は震災ボランティアでスリランカ人のクマラ(オミラ・シャクティ)と出会い惹かれ合う。娘のマヤ(伊東蒼)とも打ち解け3人での生活が始まり婚姻届を提出した直後、クマラがオーバーステイ(超過滞在)で入管施設に収容されてしまう。

「原作を読んで素敵な家族の話だなと思いました。家族がお互いを思い合っているところが心に響いて一気に読みました。ミユキはまっすぐでとても温かい女性。外国人とか分け隔てなく誰にでも同じ態度。人に頼ることなく生きてきたので強いけれど、悩んだりしている部分もあって、応援したくなると思いながら読みました」

 入管の問題はニュースや新聞で度々報じられている。

「ニュースで聞いた程度で、詳しくは知りませんでした。原作を読んで知ることも多く、入管について知らなかったミユキと一緒です」

 クマラ役は約300人の応募者の中からオーディションによって選ばれた。

現場では“クマさん”と呼んでいましたが、オミラさんがいなければできなかったドラマだと思います。目が純粋で吸い込まれるような表情に感情がすごく揺り動かされて、オミラさんを目の前にすると芝居というのを忘れる瞬間がたくさんありました。

 1話のプロポーズのシーンでは、手に汗握ってずっと緊張していました。撮影というよりもプロポーズということに緊張していてリアルな雰囲気でした。

 オミラさん本人がクマさんの役柄同様に謙虚で礼儀正しい方で、境目がなくリンクすることが多かったです。オミラさんから湧き出るものに自然と動かされて常に新鮮な気持ちでいられたことは、これまで味わったことがなく不思議な感覚でした。

 出演を依頼された時は子どもを産んでから長期間のドラマ撮影は難しいと思っていましたが、家族がテーマの話やスリランカ出身の方と初めて芝居をしたことは自分にとって挑戦になったと思います。

 入管や在留資格について知らない人もいると思うので、いろいろな事情を抱えた人たちがいることをドラマを通して少しでも知ってもらえたらと思います」

優香のいちばん好きなシーンは

「1話はクマラさんとの楽しいシーンが多いけど、2話以降は悲しく重たいシーンが増えていきます」と優香。そのなかでいちばん好きなシーンは?「収容された時など切ないシーンが多いので、楽しかったプロポーズのシーンが思い出深いです」