目次
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ー 高学歴な人ほど民間療法に走りやすい
Page 2
ー サプリが治療の妨げ、ヨガで骨折のケースも
Page 3
ー 始める前に情報を吟味し自分に合ったチョイスを
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ー 一度、始めると後には引けなくなる ー 大野先生セレクト!がん患者向け民間療法 おすすめベスト5

 現在のがん治療は、検査結果からがんの進行度を見極め、「ガイドライン」に基づいた治療を医療施設で行っている。通常のがん治療は、西洋医療による手術、放射線、抗がん剤の3大治療が主流。病気を治すためにとても重要な治療とされている。

高学歴な人ほど民間療法に走りやすい

 しかし、インターネットが発達したことで最新の医療情報にアクセスしやすくなった反面、SNSなどでは「○○でがんが治った!」という話がまことしやかに語られ、“ニセの医療”に目がくらみやすい。通常のがん治療を拒否して取り返しのつかない結果になることも少なくない。

「治療実績の向上などから“がんは治る時代”といわれていても、完治の保証がない、再発の不安がある場合などは、本人や家族の選択肢として、西洋医療以外の『補完代替療法』を取り入れます」

 と、補完代替療法や健康食品に詳しい大野智先生は語る。

 補完代替療法とは、西洋医療を補う医療で、昔から行われている「民間療法」などのこと。代表的な民間療法は、左のように分類できる。一般的にハーブやビタミン類、サプリメントなどの天然産物、鍼灸、マッサージなどの施術、ヨガや運動療法といった心身療法など、健康な人でも日常的に取り入れているようなものもある。

 この補完代替療法をどのくらいの人が取り入れているのかを示したデータがある。緩和ケア病棟で亡くなったがん患者における補完代替療法の使用実態を遺族にアンケートをした結果(※1)では、回答した遺族のうちの52・5%が患者が亡くなるまでの間に何らかの補完代替療法を利用していた、と回答している。

 厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班によると、がん患者における補完代替療法に「関心を持っている人」と「利用している人」の割合が83%という調査結果もあるほど。

 補完代替療法は自分の判断や責任で行うため、病院で受ける医療とは異なり、保険適用外となることがほとんどだ。それでもなぜ、がん患者は民間療法を求めるのか。

がんによる苦痛を緩和したい、進行を抑制したい、免疫力を少しでも上げたい、と考えている人が利用します。精神的に生きる希望を持ち続けるために利用する人も(※2)」(大野先生、以下同)

 若年患者や高学歴な家族がいるケースで、特に利用率が高い(※3)。

「若年層や高学歴の人は自分で調べて、補完代替療法の情報をいろいろ入手します。それが利用につながったのではないかと、推測しています」

 若年層が多いのは、「若いほどがんの進行が早い」といわれるせいもあるだろう。

がん患者さんや家族は、こうした情報に期待しながら、さまざまな商品を購入する実態があるのだと思います」

※1~3は「鈴木梢ほか、Palliat Care Res 12;731-737,2017」より 

代表的な民間療法の分類

天然産物
→ハーブ、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、プロバイオティクスなど

心身療法
→ヨガ、カイロプラクティック、整骨療法、瞑想、マッサージ療法、鍼灸、リラクゼーション、太極拳、気功、ヒーリングタッチ、催眠療法、運動療法など

そのほかの補完療法
→心霊治療家、アーユルヴェーダ医学、伝統的中国医学、ホメオパシー、自然療法など

(米国 国立補完代替医療センター:2017より)