高橋がモラハラ男を演じたドラマ『凪のお暇』(TBS系)では、なんともう一人のクズ男も登場する。全てが嫌になった凪が引っ越した家の、お隣に住んでいたのが中村倫也演じる“ゴン”。関わる全ての女性を落とし、依存させる“メンヘラ製造機男”だった。

「“ゴン”が纏う柔らかい雰囲気は、ナチュラルなドラッグみたい。柔らかくて落ち着いた雰囲気で女性を包み込んでいるので、知らないうちに依存して、一度味わったら離れられない。優しいし、心地がいいから、女性が沼って離れられないので、高橋さんの“モラハラ”よりもたちが悪いかもしれません」

 多くの“クズ男”には、なぜか憎めない“愛すべき”ところもあるものの、一方で、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務めるドラマ『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)に出てくる男“北”は、誰がどう見てもわかる“完璧なクズ男”だった。

「このドラマは、重岡さん演じる“北”が、仕事も彼女も社会的名誉も失い、自暴自棄になってしまうところから始まります。“死ぬ前に蟹を食べたい”と思った北は、お金がありそうな家に強盗に入るんですが、その家の女性が北の話に共感してくれて、一緒に“心中蟹旅行”に出かけます。

 ここまででも“トンデモ”な展開ですが、旅行費用は全て女性がもっている上に、旅行中には浮気もする始末。冒頭の強盗もあいまって、正真正銘なクズ男ですが、重岡さんが演じることで、なぜか許せてしまうキャラに。重岡さんは、明るい印象があるので、こういう暗い部分がある役の魅力が際立ちますね。これからもたくさん挑戦してほしいです」

 ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ系)から名乗りを上げるのは、岡田将生。岡田が演じるのは、エリート弁護士で、松たか子演じる主人公・とわ子の元夫“しんしん”。女性にはダメージの少ない“自意識過剰系クズ男”だ。

「これまで話した作品の中では一番“クズ感”がないと思います。ですが、自分なりのこだわりや“これが嫌”というクセが強くて考えすぎ。“こういう人って嫌だよね”という思想が強くて、自分のことも縛ってしまい、色々煮詰まって爆発してしまうんです。女たらし系ではないので、そこまで女性に被害を与えないというのが、これまでのクズ男役とは違うところですね」

 いろいろな形態で、あらゆる場所に神出鬼没なクズ男たち。どうして女性たちは、“クズ男役”に沼ってしまうのか。

「傾向として、昔は“俺についてこい!”みたいなキラキラした“完璧”な男性の役が多かったし、視聴者もそういうキャラクターを求めていました。でも今は、景気なども右肩下がりで、少しネガティブな雰囲気の役が増えています。視聴者側である私たちも、“何かが足りない人”の方が、見ていて安心するのではないでしょうか。完璧な人って見ていてちょっと疲れちゃう。“クズ”な部分が少しある方が、気楽なんですよね」

 “クズ男役”が人気を集めるのは、“完璧”を自分にも求めなくていい、という安心感があるから。とはいえ、“クズ男”が魅力的なのはあくまでもファンタジーの世界。

「誰も、現実では“クズ男”とは関わりたくないですよね。色々なタイプのダメ男が出てくるドラマを見ることによって、女性は“クズ男センサー”が磨かれ、現実の男性を見極められるようになるから、どんどん見てほしいと思います!」

期待の次世代ダメ男役俳優

 『池袋ウエストゲートパーク』などで、ダメ男を演じてきた窪塚洋介。今年19歳になる息子の愛流はクズ男役未経験だが、期待大!