実家片づけブロガーうきさんの場合

 富山の実家まで片道6時間の道のりを何度も通い、親の生前に家の片づけを成し遂げたうきさん。1人暮らしの母親に寄り添い、介護施設入所を経て昨年夏、最期を看取る。奮闘しながら後悔もあったというその思いを吐露してもらった。

「年老いて施設への入所を迫られたとき、母はどうしたいのか、元気なうちに聞いておけばよかったと思いました。

 住み慣れた実家近くがいいのか、生まれ故郷がいいのか、娘の家の近くがいいのかなど。十分な話し合いをする間もなく、私の住む関西に呼び寄せると決めてしまったので。実家を将来どうしたいかも、併せて聞いておくべきでした。

 誰かに住んでほしいのか、売っていいのか、子どもたちに受け継いでほしいのかなど。希望を聞いても逆に困ったかもしれませんが……」

 母親は終末期を迎え、病院を見舞う日々が続いた。

「口から物が食べられなくなったとき、延命治療するか否か、日頃から終末期に対する考えを聞いておけばよかったかもしれません。これを決めるのが、自分でも一番つらかったですから。

 母はもっと生きたいと思っているのか、もう父のところへ逝きたいと思っているのか、悩みました」

 そして永遠の別れがやってくる。最愛の母親は90歳で旅立った。

「墓、仏壇についても、どう継承していきたいか確認しておけばよかったのかもしれません。でも、答えに詰まってしまったでしょうね。そう、母の好きな花を聞いておくべきでした。

 好きな食べ物はたくさんわかるんですけど。母の写真にお供えをするとき、いつも思います」

うきさん●関西在住の50代主婦ブロガー。親の家の片づけ、介護、看取りまでをブログ(以下QRコード)に綴る。
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曽根恵子さん●夢相続代表。日本初の「相続実務士」として相続対策サポート専門会社を運営。感情面と経済面に配慮した“オーダーメイド相続”の提案を強みとしている。著書多数。
曽根恵子さん●夢相続代表。日本初の「相続実務士」として相続対策サポート専門会社を運営。感情面と経済面に配慮した“オーダーメイド相続”の提案を強みとしている。著書多数。
教えてくれたのは……曽根恵子さん●夢相続代表。日本初の「相続実務士」として相続対策サポート専門会社を運営。感情面と経済面に配慮した“オーダーメイド相続”の提案を強みとしている。著書多数。

(取材・文/百瀬康司)