『スーパーJOCKEY』(日本テレビ系)の名物コーナー「熱湯コマーシャル」でも、松尾が一番手を務めている。

「本当に熱いのかなと思っていたら、これが想像以上に熱かった。実際に温度を測ったら、50℃あるじゃないですか。僕から始まり、軍団が順に入って、もう1度順番が回ってきた。誰も頭から行かなかったので、これは行っておいたほうがいいかなと思って、覚悟を決めてドボンと飛び込みました」

 とはすさまじいプロ根性だ。過酷ロケのエピソードは尽きることがない。冬はブリーフ一丁でスキーの雪山直滑降。夏は大量のヘビがうごめくプールでの水泳に、命の危機を感じたというサメが泳ぐ海へのダイブ。空手有段者との本気対決に、田んぼへの泥まみれジャンプ、大蛇の捕獲チャレンジ……。ブリーフにタランチュラを忍ばせたこともある。

「こいつらはプロだから」

「何が入っているでしょうかと当ててもらうクイズです。みんなタランチュラだってわかっているのに、面白がってなかなか当ててくれなくて。タランチュラはもぞもぞ動くし、もう脂汗が出ましたね」

 文字どおり命がけで、もはや芸人ではなくスタントマンレベル。コンプライアンス縛りの今では再現不可能で、大らかだった昭和の時代だからこそできた話といえよう。

「当時はグレーゾーンが多かった。とりあえずやってみて、ヤバければ中止、面白ければOK、なんてノリでした」

 だがいつの時代にもやはりうるさ型はいるもので、当時も「危険行為」としてやり玉に挙げられたことがある。

「PTAで問題になっているという話でした。そのときたけし師匠がラジオの生放送で、“軍団が危ないことをしてるって言うけど、こいつらはプロだから。やつらはこれで飯も食ってるし、一般の人と軍団のやっていることを同じに考えてほしくない”と言ってくれたんです。その言葉がすごかった。ただ熱湯風呂のプロってどうなのって、みんなで話し合いましたけど(笑)」

 芸人としては、笑いをとってナンボのもの。生傷は絶えずとも、やりがいはあった。

どんな大変な思いをしても、それで面白い画になればうれしかったし、そこでたけし師匠が“松尾情けねえな、何やってんだよ!”って笑ってくれるのが一番の褒め言葉でした。みんなが爆笑してくれれば大成功なわけで、だから多少の痛さも消えてしまう。でもシーンとしていると、たいした傷でなくてもすごく痛く感じるんです(笑)」