確かに、無理やりな若づくりほどイタいものはない。むやみに流行に乗る怖さを覚えておきたいものだ。

“加齢”を“華麗”に

 MAYUMIさんによると、「年齢を気にするなら、髪形に曲線とボリュームづくりを意識すること。そして、自分と正直に向き合うこと」と語る。

そもそも現代人の私たちは、普段は洋服を着ているわけですから、西洋人風のヘアスタイルを目指すべきなのです

 顔まわりに曲線があれば、年齢による変化もカバーしやすい。

一度鏡で自分の顔─、真正面からフェイスライン、斜めから顎下と首のたるみを確認してください。それをいかに髪形のシルエットでカバーするかなのです。そのベースがカットで、次に頭のハチの部分にボリュームを出すことを意識することです

 考え方の参考になるのはYOUのヘアスタイルのシルエットだという。

ご自身で髪を切っているそうですから、隠したいところを隠した、こうなりたい自分というのを踏まえていらっしゃるわけです。まさに曲線とボリュームがふんだんにありますし、前髪や両サイドなど隠したいところを上手にカバーしていますよね。現在のご自身と正直に向き合っているのだと思います

 また、自分と正直に向き合い、自己プロデュースが上手な芸能人としてこの人も評価する。

「工藤静香さんです。大人女性にとってイタい髪形の一つである、ストレートのロングのイメージが強い彼女ですが、コンサートのときなどはボリュームを上手に出されていますよね。

 白髪との向き合い方についてもSNSで発信したりと、若さに固執しているわけではなく、今年ならば『55歳の工藤静香』を上手に演出していると思います

 白髪といえば、大人女性のヘアカラーの悩みについてこんなアドバイスを。

アジア人の肌の色だと白髪の色は浮いてしまうので、一気にグレイヘアにするとおしゃれよりも“老い”のイメージに直結してしまいがちです。かといって真っ黒にすると肌の老化も目立ってキツいイメージになります。むしろ肌の色に合わせたハイトーンのカラーにチャレンジされたほうが、白髪が伸びても目立ちにくいし、顔まわりも華やいで見え、顔の劣化をぼやかすことができます

 そんなMAYUMIさんが思う、素敵な髪形の芸能人の名前を挙げてもらった。

「みなさんに支持されているとおり石田ゆり子さん、森高千里さんあたりでしょうか。最近ハッとしたのは、松たか子さんと、元マラソン選手の高橋尚子さん。みなさん、前髪や両サイドの生かし方、ボリュームや曲線のつくり方がとても素敵だと思います。

 特に森高さんの場合、髪形はアイドル時代とまったく違うのに、トータルで『変わっていない』という印象を受けます。加齢を上手に受け入れていますよね。あと、天海祐希さん。面長なので顎下までのボブがお似合いだと思います。ただ、お顔がシャープなこともあり、ストレートよりも少しカールを入れたほうがエレガントさが増すと思います

 辛辣なようでありながら、まさに的確。自らも大人女性のひとりとして、髪の悩みに向き合い続けているからこそのMAYUMIさんの分析力はさすがだ。

髪形しだいで、“加齢”を“華麗”につなげることができます。そのお手伝いをできる限り続けていきたいですね

取材・文/木原みぎわ

MISS ESSENCE MAYUMIさん 1959年生まれ。コーセー美容専門学校理事評議員、早稲田大学招聘研究員、米国NLP 協会認定コーチ。1989年、名古屋に「MISS ESSENCE」をオープン。1995年に東京・青山に2号店を出店。カットだけで小顔でツヤ髪にする流線型シルエット『MAYUMIカット』を発案。国内外の講師活動は20年以上で受講生は2万人を超える。カットのみで10年連続年間1億円の売り上げも残し、今もなお現役で活躍中。人気漫画家、桜沢エリカ作『こまどりの詩』(主婦と生活社)に本人役で登場。2021年、「第7回美容・アンチエイジング部門 プラチナエイジスト賞」を受賞。著書に『加齢を華麗に変える!MAYUMI美髪メソッド』、『人生を楽しむお洒落のコツ』、『50歳からの髪と頭皮のお悩みQ&A』など。YouTube、TikTok(「MAYUMISM」)で、辛辣ながら愛のあるアドバイスを発信中。