「まさか自分が」。余命を宣告されたら誰もがそう思うだろう。しかし「ラッキーしかなかった」と話す女性がいる。女優・土屋アンナの母・眞弓さんだ。波瀾万丈の半生を経て膵臓がんに侵されても前を向いて生きられるワケを聞いた。
こんなものに負けてたまるか!
モデル・俳優・歌手・タレントの土屋アンナの母で、所属事務所の代表を務める土屋眞弓さん。昨年6月、ステージIVの膵臓がんと診断され、余命1年~1年半と宣告された。
「その前から胃が重くて、お腹の中で何かが動くような、妊娠して赤ちゃんが動くとグニュンとなるような感じがあったんです。それで『これは変だぞ』と思って」
毎年胃の検査を担当していた医師に診てもらうと「胃ではなく、膵臓かもしれない」と言われ、改めて別の医療機関で検査を受けた。するととても暗い顔をした医師から「膵臓がん」と告知されたという。
「それで私が『ステージは?』と聞くと『ステージIV』、『余命は?』『1年から1年半』というやりとりがありました。それを聞いて私は『了解です。私、そんなので死なないから!』と言って、そこから生きるための闘いが始まったんです。『こんなものに負けてたまるか!』って思って」
お腹の中のグニュンの正体は、胃の出口から十二指腸へ続く道の裏側にある膵臓にできた腫瘍。十二指腸閉塞となり、食べたものの一部が胃の中にたまって水風船のように膨らんでしまったことが原因だった。
この中身を取り出すため入院し、胃から小腸にステントという管を入れ、広げる手術を受けたという。
そこから半年間、抗がん剤を投与して年末に腫瘍を切除する手術を行う予定で治療をしていたが、結果は「腫瘍は小さくなったが、手術で切れないので、このまま抗がん剤治療を続ける」というものだった。
「幸い私は抗がん剤で体調が悪くなることがなかったんですが、血管がもともと細い上に硬くなってしまったことで、薬を入れたり、血液検査のための採血をする針が入りづらくなって大変だったんです。それから髪の毛が抜けてしまうと聞いたので、長かった髪をショートにして、抜け始めたときに床屋さんで剃髪してもらいました。
でも半年間、抗がん剤治療をした上でがんを切ることを目標にやっていたのに、治療方針が変わってしまって、疑問に思ったんです。それでこの治療をいったんやめて、もっと自分に合った治療法を探すため、別の医療機関を受診することにしたんです」