同席していたヨシさんは病室を出るとショックで号泣したが、あゆみさんを全力で支えることを決意。娘たちは「ママは絶対平気!」とエールをくれたという。
「娘たちや彼のためにも、あと1年で死ぬのは困る。抗がん剤をやってみて、つらかったら途中でやめればいいと、治療を決めました」
“がん=恐怖”とは考えないように
抗がん剤治療は1か月に1回のペースで、2024年3月まで半年かけて行った。副作用は脱毛と倦怠感で、比較的軽いほうだったという。
「脱毛は治療中の一時期だけとわかっていたので、あえて自分で頭を丸めて、ウィッグでいろいろな髪形を楽しみました。基本は前向きでしたが、食べ物や外出などの制限が多く、気が滅入ることも多かったです」

半年間の治療でがんは消滅したが、今年1月の検査で再々発がわかる。腹膜に2か所の転移が見つかったのだ。
「またか、と思いましたが……。どんなに気をつけていてもがんになる体質なんだと受け入れました。手術か放射線治療の選択肢があると言われ、身体への負担が少ない放射線治療を試すことに」
2月から30日間毎日通院し、放射線の照射を行った。
「副作用は眠気や倦怠感がありましたが、更年期障害の症状と似ていて区別がつきにくかったですね」
今後の検査で治療結果がわかるという。あゆみさんは、両親と住むために建てた2世帯住宅の2階で次女、三女と一緒に暮らしている。
ヨシさんはあゆみさん宅に通い、家事を担うなど献身的に支えていたが、昨年から親が使っていた1階にヨシさんが入る形で同棲をスタート。ヨシさんからプロポーズがあれば、結婚も考えてみたいと話す。
「私が照れ屋なぶん、彼は年中“愛している”と言葉に出してくれるんです(笑)。結婚していないのに尽くしてくれるのは、当たり前のことじゃない。本当にありがたいです」
最近、長女が出産し、「孫活」も忙しいと笑うあゆみさん。ヨシさんや家族との時間を大切に過ごしながら、100歳まで生きる「余命45年」を目指す。
「また再発するかもと、起きていないことを心配してもしょうがない。それに、体内にがんがあっても老衰するまで長生きする人もいるのだから、“がん=恐怖”とは考えないようにしています。今を生きることに集中して、ポジティブでいたいです」
あゆみさん 1968年生まれ。2021年にYouTubeチャンネル「【17歳年の差】癌サバイバー彼女と年下彼Vlog」(@toshinosa)を開設。パートナーのヨシさんとの日常や、がん闘病の様子を配信している。
取材・文/小新井知子