アルバムに込めた思い

 高校受験が終わったタイミングでLDHのオーディションを受け、合格をつかみ取った。エッセイの中では当時の葛藤が赤裸々に語られているが、もし当時の自分に声をかけるなら、オーディションをすすめるか問うと、

「いやぁ……、かなり悩みますね。オーディションに合格した後の試練というか、その先に待ち受けているものが多すぎて、“受けなよ!”と気軽には言えないです。針の穴に糸を通すようにいろいろなことをくぐり抜けてきて、奇跡の連続によって今の僕があると思うので。“もっと普通に生きててもいいんじゃないの”と言うかも」

 と、シンデレラストーリーの先で味わった厳しさと努力がにじんだ、少し苦い笑顔で答えた。

「でも、受けないと気が済まなかったんでしょ、とも思うんです。当時の自分は、“絶対にオーディションに受かってやる!”というタイプではなかったのですが、何かに向かって踏み出すタイミングだったんだと思います。あのときの自分は、どんなに止めたとしても受けるんだろうなぁって(笑)」

 ソロ活動5年の集大成としてアルバム『Bouquet』をリリースする。

「色とりどりの楽曲をひとまとめにするという意味を込めて『Bouquet』というタイトルにしました」

 と、タイトルに込めた意味を語るとおり、自身の作詞曲や他アーティストとのコラボ曲など、盛りだくさんの内容だ。

「グループ活動があるから、ソロ活動をより自由な発想でやれているんだなと感じています。自分なりのメッセージを生み出すこともできるのは、グループという大きな軸があるからこそ。メンバーにはまだ聴いてもらってないのですが、きっと“らしいな”と言われると思います。タイトルが『Bouquet』っていう時点で、もういじられそう(笑)」