今や競馬、競輪、ボートレース、そして違法オンラインカジノサイトではパチンコまでもがオンライン化し、いつでもどこでも利用できる―。つまりギャンブルがしやすい環境となったことで依存症となる危険性が拡大している。家族が依存症になり、巻き込まれる例も後を絶たない。決して人ごとではない問題にどう立ち向かうべきか。
ギャンブルをやる人なら誰でもなる可能性が
ここ数か月、オンラインカジノで有名人が摘発されたというニュースが相次いでいる。オンラインカジノの浸透ぶりは想像以上に根深く、警察庁の調査(令和7年「オンラインカジノの実態把握のための 調査研究の業務委託 報告書」)によると、国内の経験者は推計337万人。このうち6割にギャンブル依存症の自覚が多少なりともあるという。
「好きでハマって依存症になるなんて、自業自得」とつい思ってしまうが……。
「実は、脳の機能不全によって『やめたいのにやめられない』状態になるのが依存症です。脳内物質のバランスが変化することが原因で、意志の強弱や性格とは関係なく起きる精神疾患なのです。ギャンブルをやる人なら誰でもなる可能性があります」
そう教えてくれるのは、ギャンブル依存症問題を考える会の代表を務める田中紀子さんだ。
依存症を引き起こすのは、オンラインカジノに限らない。厚生労働省の発表(令和5年度「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」)によると、国内でギャンブル依存症が疑われる人は成人のおよそ1.7%いる。その人たちが一番お金をつぎ込んでいるのが、パチンコやパチスロといった中高年におなじみのギャンブルなのだ。
「ギャンブル依存症問題を深刻化させているのが、スマホです。オンラインカジノのほか、競馬などの公営ギャンブルもスマホ一つで人目を気にせず気軽にできてしまう。主婦でも、昼間からやっていようが誰にもとがめられませんから、どんどんのめり込んでしまう。さらに、ギャンブルのために大金が欲しくなったときの、闇金や闇バイトなどもスマホで探せてしまいます」(田中さん、以下同)
スマホによって依存症の入り口が一気に広がっただけでなく、関連するトラブルにも巻き込まれやすくなっているという。
「依存症の当事者だけでなく、まわりにいる家族や友人、職場の人など巻き込まれる人がその数倍、数十倍いるわけですから、決して人ごとではありません!」
ギャンブル依存症は男性のほうがなる割合は高い。週女世代の女性は
「夫がギャンブルでつくった借金を自分や子が肩代わりをし続けたうえに、頼みの綱の退職金まで使い込まれて老後資金がなくなった」「息子がギャンブルのために親の年金まで使い込んだ」
といった形で巻き込まれるケースが目立つが、ちょっとした小遣い稼ぎにと、気軽に手を出し、人知れずハマってしまう危険性をはらむ。
「ギャンブル依存は病気なのですから、早期発見・早期介入・早期治療をすることが本人にとっても周囲の人にとっても重要です」