ドキュメンタリーで知ってもらう病気のこと
賀久くん家族にとって、第一の関門は幼稚園入園だった。道化師様魚鱗癬児童の受け入れは前例がなく、懸念されたが、無事入園が決定。少しずつ皮膚の調子が落ち着いてきたころでもあった。とはいえ日焼け対策に乾燥対策と、賀久くんはすべきことが多い。結衣さんは元保育士でもあり、
「現場を知るからこそ、先生方への負担の大きさはわかるし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
と話す。だがそれも杞憂で終わる。
「幼稚園入園の段階で園長先生が後々行く小学校の先生方にも連絡を取ってくださって。先を見越して人脈をつないでくださり、とても助けられました。素敵なお友達と保護者の方に恵まれ、本当に強運の子だと思っています」
入園と前後し、CBCがYouTubeで『ピエロと呼ばれた息子』の配信を始めている。賀久くんと家族の奮闘を追ったドキュメンタリーだ。
メディア露出のきっかけに、病気を知ってほしいという思いがあった、と陽平さん。
「ずっと指をさされる毎日でした。病気に対する誤解や偏見があって、うつるんじゃないかと言われたり、さっと人が避けていったり、こんなやけどをさせてひどい親だと言われたこともあります。この先学校でいじめや嫌がらせにあうのではないか、という心配もありました」
動画は大きな反響を呼び、これまで計151本が配信され、1.8億回以上の再生を記録するまでに。
メディアの効果は絶大だった。見知らぬ人から「賀久くんだ!」と声をかけられ、すっかり人気者になった賀久くん。何より彼自身の明るく人なつこい人柄も大きいようだ。
「いつもプラス思考で、すごくポジティブだなって感じます」と両親共に口をそろえる。