タオルをギュッと「にぎにぎ」してストレッチするだけで、手指の痛みやこわばり、筋力不足を改善。手の圧力を鍛えることは、実は健康長寿の第一歩。高血圧の予防にもなる、健康効果いっぱいの驚きのエクササイズを紹介します。
要介護になる危険性
「ペットボトルのフタが開けられない」「買い物袋を持つのがつらくなった」など、年齢とともに、手の握力低下を感じる女性も多いのでは?
「加齢に伴い筋力や体力が低下し、介護が必要な身体になる危険性が高くなった状態を『フレイル』といいますが、その兆候のひとつが握力の衰えです。手指のトラブルは年だから仕方ない、と考えてはいけません」
と話すのは、みらいクリニック院長の今井一彰先生。
「フレイル状態のままでいると、バランス能力も低下して、転倒のリスクが高まります。ロコモ(関節などの運動器障害)にもつながりやすいのです。すなわち、フレイルは寝たきり、要介護の入り口といえるのです」(今井先生、以下同)
実際、福岡県久山町の長期大規模調査の一環によると、握力が弱いと死亡リスクが高くなるというデータもあるという。
握力(手の筋力)は血圧や体重と同じように、自分の身体の健康状態を知るバロメーターでもあるのだ。最近、握力不足で日常生活に不便を感じている人は、フレイルを疑ったほうがいいかもしれない。
さらに今井先生は、手のトラブルの原因に、手指のこわばりを挙げている。
「包丁を握る、パソコンの文字を打つなど、手指が動かしづらくなったと感じる人は、筋力不足とは別に『手の病気』の可能性があります。痛みやしびれ、こわばりの症状がある人は要注意です。病状が悪化すると、痛みが慢性化したり、指が変形することもあるので、医療機関を受診したほうがよいでしょう」
手指の病気は年齢、性別を問わずに発症する可能性があるが、ダントツで中高年の女性に多い。これは、50代前後で閉経し、女性ホルモンが減少するのが原因だと考えられている。
「女性ホルモンのエストロゲンには、健康を維持する働きがいろいろありますが、そのひとつに関節の組織を保護する作用があります。エストロゲンの分泌は、30代前後をピークに減り始め、45~55歳の閉経が近づくと急激に減少します。そのため、手指をはじめ、関節の不具合が生じやすくなるのです」
下の写真の手指のこわばりや痛みが生じる主な病気を挙げたので参考にしてほしい。いずれも、早めに治療をすれば、改善または進行を抑えることができるようだ。

手指のトラブルを侮ってはいけないことはわかったが、日頃から予防できることはあるのだろうか。