介護保険料の滞納で3倍負担のリスク

 手当を受け取れれば、状況は変わったかもしれない。どんな介護制度があるのか知っておくことが大切。

「お金としてもらえる手当は国による特別障害者手当のほか、市区町村が給付する介護手当があります。介護手当は前提として全市区町村が行うものではありませんが、半数以上は支給していて、もらい忘れもあるでしょう。

 というのも市区町村によって手当の名称が“介護家族慰労金”や“熟年者激励手当”などバラバラなんです。これでは何の手当かわからず、受給漏れの可能性があります。この市区町村の手当は介護度によって要件が決まっているため、受給資格がわかりやすいです。まずはすぐに調べてみましょう」

 一方で、国による特別障害者手当も、対象者数は多いのに受給者が少ないと河北さんは感じている。これは障害者手帳の有無にかかわらず受給でき、在宅介護を続ける家庭が対象となる給付金である。

「介護手当よりも受給までのハードルはやや高いです。医師の診断書が必要で、受給資格にも明確な介護度などの基準はありません。おおむね要介護4以上であれば受給できる可能性があるでしょう。

 そして在宅介護に励む方への手当なので、施設入所になった場合は支給が止まります。ただし老人ホームにも種類があり、施設ではなく高齢者専用マンションなど住宅扱いの場合は引き続きもらえることもあるので、役所に確認してみましょう」

“介護破産”を免れるためには、手当などは何があるか調べ、もらえるものはしっかりもらうこと。だが、その前に注意すべき点も。

「介護保険料の払い漏れをしないことです。通常は年金から保険料が天引きされますが、年金支給額が少ない場合は天引きされないんです。

 その場合は納付書が届きますが、高齢者は払い忘れたり放置してしまうことがある。納付を2年延滞すると、通常は1割負担で介護サービスを受けられるはずが、3割負担から4割負担になるケースがあります」