親のために子どもができること

 そして、親の介護のために子どもが離職しないことも重要だ。

「将来の自己破産リスクにつながる可能性があるため注意が必要です。理解しておきたいのは、“親の身体介護”は国が定める義務ではないということ。子どもに課せられた義務は、親が生活に困ったとき、自分が可能な範囲で金銭的な援助をすることなんです」

 抱え込まないことが大切だが、介護に悩んだとき、まず相談するところは?

「地域包括支援センターです。ここには保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士という専門職員が必ずいるので、あらゆる方面からのアドバイスを受けられます。

 そしていろいろな事例を扱うので、例えば介護のイライラで虐待してしまうなどの相談も受けています。相談員が内容により適切な施設や団体に引き継いでくれますし、ケアマネジャーなども紹介してくれます」

 お金や手当のことでわからなければ、市区町村の役所に連絡を。

「“介護状態なので、何かお金の手当はないですか”とお金という言葉を具体的に伝えて相談するとスムーズです。自分自身や家族の状況を、できるだけ詳しく伝えましょう」

教えてくれたのは…河北美紀さん
2013年に株式会社アテンドを設立し代表取締役に就任。高齢者リハビリデイサービス「あしすとデイサービス」や訪問介護「あしすとヘルパーステーション」を開所する。現在は介護施設経営に加え、東京都江戸川区の介護認定審査会委員として活動

取材・文/植田沙羅