がんじがらめに縛られていたトラウマから、心を解き放ちたい。そう思っていた矢先、EPOは'03年に上演された宮崎あおい主演のミュージカル『星の王子さま』で夫となる俳優の宮川雅彦氏と共演。運命の出会いが訪れた。
夫との出会いと母との絶縁
「私は母の影響で、常に幸せになることに制限をかけていました。でも彼と出会ったことで、母との関わりを完全に絶つことに罪悪感を持つことをやめました」
その1年後、長年いさかいを続けてきた母と義絶。宮川氏と2人で生きていく覚悟を決めた。本格的に心理学とプロの補完医療の施術師の資格を取るために、夫となった宮川氏と共にアメリカに4年間留学。2人で全米催眠療法協会認定催眠療法士や、全米NLP協会認定NLPマスター・プラクティショナーなどの資格を取得。
やがてEPOは夫と神奈川県葉山町でカウンセリングスタジオ『MUSIC&DRAMA』を始めた。
「自分もとてもつらかったので、さまざまな問題を抱え生きている人たちの“心の旅”の手助けができたらいいなと思っていたんです」
そして'11年。EPOにもうひとつ人生の転機が訪れる。東日本大震災後、葉山町の家を残したまま沖縄本島での生活を始めたのだ。
「千葉に暮らす宮川の両親が心配で、最初は2世帯で那覇のアパートに疎開していました。その1年後、広い畑のある家に引っ越して、今は野菜や果物、花に囲まれて暮らしています。沖縄暮らしは、もう15年になります。
バナナの木が20本生えていて食べきれないほどとれるんです。フリーザーバッグに入れてつぶし、板状にして冷凍保存。ヨーグルトやアサイーのサラダにしたり、バナナダイキリを作ってみたりして楽しんでいます。沖縄に来て、食への意識がますます高くなりましたね」
畑仕事と庭仕事で英気を養いながら、EPOはデビュー50周年に向けて早くも思いを巡らせている。
「今も第一線で活躍するキーボード奏者の清水信之さんは高校の1年先輩。ギターの佐橋佳幸くんは1年後輩と、高校時代からの音楽仲間がそろいました。せっかく息の合ったチームができたのだから、今のEPOをもっと見てもらいたい」
シティ・ポップの立役者といわれるアレンジャーの清水信之。人気ギタリストで松たか子の夫としても知られる佐橋佳幸。この2人がサポートする、来年のバレンタインデーに行われる「ビルボードライブ東京」のチケットは発売即ソールドアウトとなった。帰ってきた“ポップなEPO”の人気は、デビュー50周年に向けてさらに加速しそうだ。
取材・文/島 右近











