「新しい事務所を立ち上げたら、何を考えてんだ、と周りからバカにされました。
美穂が売れてから“最初から売れると思っていたよ”なんて言う人もいたけど、当時は誰も使ってくれなかったじゃないか。ふざけるな。信じたのは俺だけだよ」
そんな思いが山中氏の中に今もフツフツと湧き上がる。
ところがデビューを目指してテレビドラマや映画、レコード会社のオーディションを受けるも連戦連敗。2年たってもチャンスは訪れなかった。
「いいところまでいくんだけど、最後に競り負けてしまう。“いい素材なんだけどな”とお愛想を言われて帰る日々が続きました。
帰り道に“もう少しだ、頑張ろうね”と勇気づけると、逆に美穂に慰められたこともありました」
神秘的な美しさを持っている
しかし個人事務所の資金繰りはやがて火の車に。ジリ貧の中、
「もうダメかもしれない」
という思いが頭をもたげてきた。そんなある日、山中氏は美穂さんを神奈川・横須賀の実家に連れて行った。実の母・ヤイさんは美穂さんを孫のように可愛がり、手作りの田舎料理と彼女の大好きなステーキでもてなした。
そのとき、母から言われた言葉が忘れられない。
「あの子はいい子だよ。神秘的な美しさを持っているし、言葉遣いがいいね。則男、頑張って美穂ちゃんをスターにするんだよ」
そんな母の思いが通じたのか。伝説のテレビドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)のヒロイン、森のどか役のオーディションに合格、チャンスをつかむ。
『毎度おさわがせします』は、性への関心が高い中高生の繰り広げるエッチな騒動をコミカルに描いたゴールデンタイムのドラマ。演技経験がないことから演出部は美穂さんの起用に反対したものの、
「彼女でいくよ。目力がいい」
そう言って阿部祐三プロデューサーは、美穂さんを抜擢。
この起用が見事に当たった。











