西川 ドクターからすれば1回目から体外受精をしてほしいというのもありますが、患者さんの立場もあるし。今は保険を使えるようになったので、ある程度の体外受精への道筋を立てていかないといけません。自然妊娠できる人に体外受精をすると、助成金をムダに使ってしまうという問題もありますしね。
金銭的なこと以上に精神的、身体へのダメージがつらかった
浜口 ただ、体外受精にトライしたとき、本当に痛くて苦痛でしかなかったんです。あんな痛い思いをしたのに、報われないんだ……って。
西川 それは自費治療で?
浜口 1回目は自費で助成金をいただきまして、2回目がちょうど保険適用の切り替わりのときで、保険治療でした。でも、金銭的なこと以上に精神的、身体へのダメージがつらくて。
西川 そういうマイナスな気持ちを持って治療を続けるのは、決していいことではないですね。
ちょうどこのタイミングで、東京から三重県に引っ越すことになっていた浜口。不妊治療を中断することになる。'22年8月、三重県に移住、翌年の2月から治療を再開しようと、クリニックを探し始めた。
浜口 引っ越す前、名古屋に東京で通っていたクリニックと同じ系列のクリニックがあったので“三重県に引っ越すので、紹介状を書いてほしい”とお願いしました。そうしたら“うちでは紹介状を出していない。治療データも出すことはできません”と。それじゃあイチからやり直しじゃないって食い下がったんですけど、無理でした。
西川 忙しすぎて、そこまで手が回らないのかも。
浜口 それでもなんとかなりませんか、と言っていたら、先生が“僕の立場で言ったらダメなんだけど、治療法を替えてみたら?”と言ってくれたんです。卵子を1個しか取らないやり方でダメだったのなら、注射でたくさん採卵する方法をやってみたらと。
西川 それは正解ですね。たくさん卵子を取ってその中で質の良いものを選んで戻す、という方法もありますから。
浜口 ヘルプでたまたま来ていた先生かもしれませんが、クリニックのやり方とは別の方法を提案してくれたことに驚きました。それに、たくさん採卵する方法なんてあるんだ、って。無麻酔で採卵するのも、本当に痛かったし。それで移住をして、とりあえず半年間くらいは治療から1回離れようと。引っ越した先は海もあるし、夏だし(笑)。何も考えないで、とにかく遊ぼうと夫と話しました。
西川 気持ちを休めることはいいことでしたね。
浜口 それで'23年になってから、電車でアクセスのいい場所ということで名古屋にあるクリニックを選びました。今度は、絶対に保険適用で麻酔が使えるクリニックというのを条件にして。
西川 そこでは排卵誘発剤を注射で?
浜口 はい。注射で、20個採卵できて。そのうちの10個が使える、と残りました。その中でも5個くらいは卵子の質がいいって言われたんです。年齢などを加味してもいい卵子です、と言ってもらえて。それで1回目の体外受精で授かったんです。
西川 今から考えると、新しいところに行って違う方法にたどり着いたのがよかったですね。やっぱり自分の肌感覚に合ったところ、浜口さんの話されていた“痛み”についてもそうだし。
浜口 名古屋のクリニックが、いろんな意味で私に合っていました。とにかく、痛いのだけは絶対にイヤ、と初診のときから伝えて。先生も“絶対に痛くしませんから”と何回も言ってくれました。
西川 1回目の体外受精で授かったと聞いたときは?
浜口 絶対に無理だと思っていたんです。妊娠したらなんか具合が悪くなると思っていて。熱が出るとかお腹が痛いとか。でもめっちゃ元気で(笑)。妊娠判定日という日があって、合格発表じゃないけれどもうドキドキで。











