西川 身体には何の変化もないし(笑)。

浜口 少しはお腹痛くなれよ、みたいな。“残念ですが”と聞くのがすごくイヤで、夫に代わりに行ってきてほしいと、前日に家ですごく泣いて暴れました。こんな元気だから、妊娠しているはずがないって(笑)。

“私ひとりじゃ成り立たない”

西川 でも、ほとんどの人はみんな無理や、と思って来られますよ。

浜口 本当ですか? そこ、先生に聞きたかったんです。みんなどんな反応されるのかな、って。私の場合は紙に“妊娠おめでとうございます”って書かれていて。いや、絶対ウソでしょ? 全然しんどくないし、と言ったら“すぐしんどくなるとかないですから。気が早いです”って。

写真左から西川吉伸院長、浜口順子 撮影/蒔田稔
写真左から西川吉伸院長、浜口順子 撮影/蒔田稔
【写真】バラドル時代と雰囲気が変わった? 妊活について真剣に語る浜口さん

西川 その反応が普通です(笑)。

浜口 夫と一緒だったんですけど、2人でポカーンとしてしまって。

西川 前に2回、ダメだったというのがあるからね。

浜口 そうなんですよ。それで、夫と“絶対に感情を表に出さんとこ”と言って診察室から出た覚えがあります。エコーの写真もカバンの中に隠して、平静を装って。クリニックにいる、ほかの方への最低限の配慮としてクリニックを出て、名古屋駅に着くまでは顔に出さんとこ、って。

西川 旦那さんも一緒に、ということですが、妊活に対して協力的だったんですね。

浜口 最初は人ごとみたいだったんですけど“なんで私だけこんな痛い思いをせなあかんの!”ってすごい勢いでキレて怒ったんです。彼には検査して問題がないことはわかっていたんですけど“私ひとりじゃ成り立たない”と言ったら、2軒目のクリニックから、できるだけついてきてくれるようになりました。

西川 それはすごいことですよ。このごろは付き添って来られる方が増えたけど、昔はいなかったですから。

浜口 私が八つ当たりするのが、本当はつらかったらしいです(笑)。心を無にしていたみたいで、サンドバッグになっているような感じ? でも、“俺だってつらいんだよ”と言ってるのを聞いて“私だけじゃなかったんだ”とハッとしたことはありました。もともと、子どもが好きで欲しかった、と後から知ったんですけど、今は本当に“子どもファースト”です。

 まったく妊活の知識がないまま挑んだ3年間。赤ちゃんを授かった浜口に、今、妊活に取り組んでいる人にアドバイスを求めると、「すごい難しいですけど……」とこう話し始めた。

浜口 とにかくやり切れない思いなどを、ぶつける方法を見つけてください。私は夫に当たりまくりましたけど(笑)、合法的に物を壊せるところがあるらしいんですよ。お皿とか家電を投げて壊せるような。とにかく自分の中にため込まず、人に迷惑をかけないで発散する方法を見つけることです。

西川 難しいですよね。医者の立場からすれば、事実は事実としてお伝えするし、もちろん希望を持てることも言いますが、それには制限があるということもはっきりとお伝えしています。

浜口 先生のように現実をはっきりと言ってくださることは、本当に大事だと思います。だからこそ、自分に合ったクリニック、先生に出会えることが大事だし、いちばん大切なことは、先生の言うことはちゃんと聞きましょう!  ということですね。これは私自身が振り返って、いちばん思うことです。

西川 初め、体外受精を拒んだこと?

浜口 そうですね。あのとき、もしやっていたら結果も変わっていて、無駄なストレスをためることもなかったでしょうし。もうね、毎回オーディションで落とされている感じですよ。受験勉強をいくらしても落ち続けているような気持ちでした。

 こうしてお話しするのも、誰かのために、何かのきっかけになればいいな、と思っているんです。いろいろな形のケースのひとつとして、読んでいただければ、と思っています。

取材・文・撮影/蒔田 稔

浜口順子 タレント、ライター。大阪府出身。'01年、ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。近年はライブコマーサーとしても活動。

西川吉伸 西川婦人科内科クリニック院長。医学博士。医療法人西恵会理事、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会会員、日本受精着床学会会員、大阪産婦人科医会代議員ほか。