お腹に傷があると仕事に支障が……

 手術までの3週間は検査で忙しかったが、がんにまつわる書籍を片っ端から図書館で借り、インターネットで体験談を読み、ほかに治療の選択肢はないのかどうかも探っていた。

「グラビアモデルの仕事もしていますから、お腹に目立つ傷ができることに抵抗がありましたし、術後の後遺症も不安でした。でも転移の可能性もあるので、早く手術をしないと取り返しのつかない状況になってしまいます。標準治療で悪いところを切るしかないと、腹をくくったんです」

 歩さんは医療保険に入っておらず、入院ではいちばん料金が安い大部屋を選んだ。

「実はコロナ禍まで3つの保険に入っていたんですが、生活のためにすべて解約しちゃったんです。入っていれば保険金が下りたんですけどね。

 手術後は今までのように旅行に行けず、お腹を見せるグラビアの仕事も難しくなります。経済的に苦しくなることがわかっていたので、病室は大部屋一択でした」

 手術は5時間に及んだが、その後の様子をインスタグラムで「管フェス開催中」と表現したことも話題に。尿道の管、お尻の穴の管、点滴の管、お腹のドレーン……と管につながれ動けない状況をユーモラスに綴っているが、実際のところは「生き地獄だった」という。

「水を一滴も飲んではダメで、口と口がくっつくぐらいカラカラに……。起き上がることも、寝返りを打つこともできず、とんでもなく苦痛でした」

 2日目には歩行訓練が始まり、少しずつ回復していったが、傷の痛みと排便障害は続いていた。

「ずっと便を出している状態なので、お尻がずっと痛いんです。痛み止めは1日に飲める量を全部飲んでいました。起きていると痛みでつらいので、睡眠薬を点滴から流してもらい、眠るようにしていました」

 大腸がんは手術をすれば大丈夫というわけではなく、退院後も通院は続く。

「ここから2〜3年は再発しやすいので、再発の兆候が見えたらすぐに対処していかねばなりません。3か月に1回はCT、内視鏡の検査は1年に1回。排便障害の薬を処方してもらうため、3週間に1回ぐらいのペースで通院が必要です。医療費もばかになりません」