目次
Page 1
ー もともと喉は強いほうだった
Page 2
ー 不安は再び大きくなって行った
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ー 公表することが誠意だと感じた

 小泉さんが味わったのは理由もつかめぬまま続いた“声を出せなくなる”恐怖。周囲からの目を気にし、人付き合いや外出も次第に減っていったという。その後、完治の難しい「痙攣性発声障害」と診断され、NHKを退局。昨年、声帯を手術し、「伝える仕事」への再チャレンジを果たしている。

もともと喉は強いほうだった

 日頃から健康に気を使っていても、病気は思いがけないかたちで訪れることがある。それは生活習慣の乱れや、無理の積み重ねだけが原因とは限らない。何が起きているのかわからず、病名も確定しない日々は、不安を募らせる。

 元NHKのキャスターで、名古屋放送局の『ウイークエンド中部』『まるっと!』など、情報番組のキャスターやリポーターを務めていた、小泉唯菜(こいずみゆな/旧姓は清水)さんも、そんな不安な日々を4年近く過ごした。小泉さんにとって大切な商売道具である“声”に異変を感じたのは、甲府放送局にいた2021年ごろだった。

もともと喉は強いほうで、大声を出したり、カラオケで歌い続けても、声がかれることはなかったんです。でも、そのころは番組の後半になると、息切れするようになりました。ちょうど新型コロナが流行していた時期で、日常ではマスクをしていたので、肺活量が低下したのかな、と。そんなふうに考えていました」(小泉さん、以下同)

 いつもより発声練習や筋トレに励んだが、症状は改善せず、違和感だけが広がっていった。

1年ほどたって、だんだん2~3分のニュース原稿を読むのがつらくなるようになりました。息が続かず、むせてしまって、しゃべり続けることができないんです。喉飴をかたっぱしから試し、高性能な加湿器を購入するなど、思いつくことはすべてやってみました

 このころから、職場の人や視聴者からも「緊張しているの?」などと声をかけられるようになり、小泉さんの異変に周りも気づき始めた。そして、一向に改善しない症状に、先の見えなさが増し、医療機関を受診するようになる。

最初に訪れたのは耳鼻咽喉科でした。ポリープかもしれないと思ったのですが、違いました。自分なりにいろいろ調べて、ストレスが原因の心因性失声症ではないかと考え、心療内科へも。カウンセリングを受け、薬も飲んでいましたが、よくなる気配はありませんでした