最後に刊行した写真集『不器用』から14年。過去に発売された写真集と今回の写真集はまったく異なるそうだ。

不安になる演技のほうが評価されたりする

今まで写真集は何冊か出していますが、当時は本当に自然体で、ほぼそのままの私でした。正直、あまり深く考えずに撮影していたので、基本的にはスタッフさんにお任せしていました。

 ただ、今回は制作の工程が全然違う。打ち合わせから細かく入って、しっかりテーマを据えて『作品を作る』という感覚に近かったです。今回はみんなで意見を出しまくりました。久しぶりに『戦った』という感じがして、楽しかったです

女性らしいヒップラインも惜しみなく表現されている (C)講談社 撮影/北岡稔章
女性らしいヒップラインも惜しみなく表現されている (C)講談社 撮影/北岡稔章
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 内容を考える上でこだわったのは、自分の過去作も含め、ほかの写真集と同じにならないようにすること。相当な数の写真集を見て研究したという。

ほかの方がやっていないことをやらないと意味がないし、そういうものを探すのはとても大変な作業でした。撮影場所にウィーンを選んだのも、あまり使われていない穴場というのが大きかったです。結果的に大正解でした

 撮影終了までは「“普通、女優さんはやれないでしょ”ということにたくさん挑戦して、“普通ならここまでかな”を超えられたと思う」と、できることを全部やりきり、写真のセレクトは逆に「“このカットしか嫌だ”みたいなことは絶対に言わないと決めていた」と言う。

むしろ、私は選んじゃいけないと思っていて。自分がいいと思うものと他者がいいと思うものは違う。この仕事をしていると、本当に実感します。芝居でも、自分がパーフェクトだと思う演技より、“大丈夫かな”と不安になる演技のほうが評価されたりするんです

 これと決めたら徹底的にやり抜くストイックさと、俯瞰で自身を見る視点と。主観と客観を絶妙なバランスで保ちながら活動する前田。30歳で個人事務所を立ち上げフリーとなってから、オーラはさらに増しているように映る。

「事務所所属とフリー、どちらが合うかは人それぞれだと思うんですが、私の性格的にはフリーランスが合っていたなと。“前田敦子”という自分自身が職業なので、責任感もものすごく強くなりました。あと、うやむやなことがひとつもなく、どの仕事でもすべての過程を把握できるので、自分に自信が持てますね(笑)

 その存在感は唯一無二。仕事も子育ても全力投球で輝き続ける“あっちゃん”のこれからが、ますます楽しみだ。

取材・文/今井ひとみ

まえだ・あつこ 1991年7月10日生まれ、千葉県出身。'05年にAKB48の第1期生としてデビューし、“絶対的センター”として国民的な人気を獲得。'12年にグループを卒業後は、俳優・歌手として活躍中。