50代に刺さる理由

 恐らく40代までは流れに乗って進んで来た仕事人生に、病気やら外的要因やらでブレーキがかかるのが50代なのだろう。気づいてみれば、社会人として働ける期間はあと10年ほどしかない。それとともに、本当に自分がやりたかった仕事はこれで良かったんだろうかと、従来は思ってもみなかった疑問が湧いてくる。

 かくいう私も、40代まではひたすら「今の仕事がナントカ60歳くらいまでもってくれれば…」と願い、早期退職して別の仕事を始める人の気持ちが全く理解できなかったが、今はよくわかる。ただし実行に移す勇気があるかどうかは、また別問題なのだけれど。

 中学時代のいじめも思い当たる節がある。私の場合、中学入学と同時にPとQという2人の同級生に目の敵にされたが、3週間ほどしたある日、2人が作り笑顔で「仲直りしようぜ。お前は本当は明るくて面白いやつなんだってな!」と台本のセリフのようなことを言い、歩み寄ってきたのだ。たぶんクラスの誰かが担任に言いつけてくれたのだと思うが、漫画みたいな展開ではあった。

 PとQも仲間外れにされる時期があったし、後にQとはそこそこ仲良くなったが、いじめられたことに関して「絶対に許せない」のは、ドラマの津田と同じだ。

 ただ自分は恨みをぶつけたいというよりは、担任に告げ口してくれたのは誰だったのかを聞き出して、お礼を言いたい気持ちの方が強い。果たし方はそれぞれだが、かつてやり残したことを一つずつ果たしていきたいと感じている50代に刺さる、隠れた名作といえよう。

 さてドラマでは、3人のマドンナであったマチルダは謎の失踪を遂げ、造成地では人骨が発見される。マチルダは殺されたのか? もし殺されたのなら犯人は誰なのか、という謎が物語を引っ張り、後半戦に進んでいく。

 3人が映画と現実を混同して記憶していたり、36年経った大人の視点で見直すと全然違った景色が見えてきたり、キーワードは「思い違い」のようだ。
 
 低視聴率だからと食わず嫌いをせずに、一度視聴してみてはどうだろう?

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。「3年B組金八先生卒業アルバム」「オフィシャルガイドブック相棒」「ヤンキー母校に帰るノベライズ」「IQサプリシリーズ」など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に「風景印ミュージアム」など。歴史散歩の会も主宰している。