スタジオと視聴者が一体感を覚える理由
「放送後に街を歩いていると『ゆかりちゃん、お仕事お疲れさま』と声をかけられることも多いんです」と根津さんが言うとおり、ショップチャンネルは視聴者との距離が近い。
キャストと視聴者の相乗効果で感動的なドラマを生むことも多いという。そのひとつが毎年恒例となっている年末の「カニ」の販売で起こった。
「豊洲市場に通称『善ちゃん』という卸業者の男性がいらっしゃるのですが、いつもお値打ちの価格で提供するために奔走してくださるんです。
その気持ちが画面越しからも伝わるのか反響がものすごく、善ちゃんが生放送中に男泣きしてしまったことが。こちらももらい泣きし、さらに反響も増えて、スタジオとお客様がひとつになったのを感じました」(根津さん)
このような「号泣回」は珍しいことではないという。
「お客様が商品調達や、その価格で提供することの大変さを実感しながら番組を見て、育ててくださっている証拠だと思います。双方向型のショッピングエンターテインメントなんです」(佐藤さん)
「台本がない」面白さ、伝説のハプニング!
ドラマが起こる要因のひとつは、30年前からずっと「台本がない」(!)という点だ。キャストは「プロダクトシート」という、情報をまとめた資料を頭に入れてからライブに臨むが、筋書きは用意されておらず、ハプニングはハプニングのまま放送される。
例えば、撮影スタッフが映り込むことは珍しくないというが、そんなときは「お母さん、あなたのお子さんは今頑張って仕事しています」などとアドリブでフォローを入れると根津さん。そんな中でも珍しく「しばらくお待ちください」が表示された回があると振り返る。
「チャンネル初期に、一人で耐熱ガラスのボウルセットを紹介していました。『こんなことをしても割れません!』とボウル同士をぶつけたら、バシャーン!と見事に割れてしまって(笑)
破片がキラキラキラ……とデモ用に用意していた食材にすべて降りかかり、そのとき『しばらくお待ちください』のテロップが流れて片づけられ、何事もなかったかのように次の商品紹介に移りました」(根津さん)
そんな放送事故となったボウルセットだが、なんと「売れた」。
「当時から購入したお客様からの生電話を受けていまして、その割れたボウルを買ってくれたお客様がいたんです。
どうしてかと尋ねたら、『そこまで自信満々にデモをするくらいだから、普段は本当に割れないんだろうな』と、逆に信頼をいただいて。そこから、今に至るまでお客様についていくと決めました」(根津さん)
ハプニングが、信頼に変わる瞬間がある。

















