このことを公言してきたことが『ちびまる子ちゃん』の主題歌『うれしい予感』を制作中だった大滝さんの耳に入り、ボーカルに抜擢。それを知らされたときは耳を疑った。
アルバイトや海外留学をしてみたかった
「『これはドッキリ!?』と思いました(笑)。生きているといいことあるんだなー、と夢見心地でした。初めてお会いしたときは、『本物だー!』って感情しかない(笑)。
レコーディングが終わって、アルバムも作りましょうよと軽く言ったらホントに作ってくれることになりました。レコーディングは細かい歌唱指導もなく、今日はこんなことをやりましょう的な日々の記録をとっていくという感じでした。まあ、私の実力だとこのくらいまでかなと読んでいたんじゃないですかね(笑)」
当時、大滝さんは新しいレーベルを立ち上げたばかりで、ナイアガラトライアングルの集大成的なアーティストプロデュース作品を企画していたという。トータス松本をコーラスに呼び、渡辺のために佐野に作詞・作曲、杉に編曲を依頼。30周年盤には大滝さんとのデュエットも収録される。
「佐野さんとは、和食屋さんでお食事をさせていただいたのですが、もう緊張しっぱなしでひと言もしゃべれず、ずっと佐野さんのお好きな音楽などのお話を聞いていましたね。
当時はミニアルバムにすることでお蔵入りになった、大好きな大貫妙子さんが書いてくださった未発表曲が今回収録されるのでうれしいです。シングルのカップリングだったご縁で植木等さんともお会いしました。昔の音楽や映画のお話をいっぱい聞かせてくださった、優しくて楽しい方でした」
渡辺は台湾紀行やピラティスなどにもいち早く興味を持ち、発信してきた。今で言うところのインフルエンサーだ。最近は家庭と仕事の両立や、更年期の悩みや不満を、誠実でまっすぐな言葉で綴ったエッセイ本も話題に。
「振り返ればアルバイトや海外留学をしてみたかったとかありますが、自分で選んだ道だし、家族やスタッフに恵まれて好きなことばかりやれた楽しい40年でした。
子どもたちも自分の人生は好きなことを選んで進めばいいと思っています。これからも好きなことをやって、新しい発見ができればいいなと思います」
落ち着いたトークの中で、コロコロ笑いながら場を和ませる。'70年代洋楽の話題には、キラキラと目を輝かせた。彼女は、人をほっこりと笑顔にさせる稀有な才能の持ち主。これからも自分が楽しみながら、その楽しさをたくさんの人と共有していくのだろう。
取材・文/山本 航

















