『カフェーの帰り道』というタイトルも、生み出すまでに難儀したそうだ。
いると思うだけで幸せな存在は
「私は小説教室に通って小説を書き始めたのですが、そこで出会った友人に助けを求めるほど、タイトル決めには困りました。当初は『女給日誌』とつけるつもりでしたが、ノンフィクションのような印象を受けるというご意見を頂きまして……。
試行錯誤の末、登場人物たちがいつも、“カフェー西行”からの帰り道に想いを巡らせていることもあり、『カフェーの帰り道』というタイトルになりました。自分では登場人物たちをかなり細かく書き込んだつもりなので、読者の方が愛情を感じる人物を見つけていただけたらとてもうれしいです」
最近の嶋津さん
「三九という名の3歳のメス猫と暮らしています。私は16時ごろから仕事に集中し始めることが多いのですが、その時間に限って、三九に遊びに誘われるんです。知らんぷりをしていると、机に飛び乗ってパソコンの前に横たわるので、覆いかぶさるようにしてキーボードを打つことも(笑)。外出をしていても、家に三九がいると思うだけで幸せです」
取材・文/熊谷あづさ
嶋津 輝(しまづ・てる)/1969年、東京都生まれ。2016年、『姉といもうと』で第96回オール讀物新人賞を受賞。2019年、同作を含む短編集『スナック墓場』で単行本デビュー(文庫化にあたり『駐車場のねこ』と改題)。2023年刊行の長編『襷がけの二人』で第170回直木賞候補に。2025年刊行の『カフェーの帰り道』で第174回直木賞受賞。『猫はわかっている』『私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー』などの選集にも作品が収録されている。


















