家族、恋人、親友、愛犬が心の支え

 再発がわかったとき、“医師におまかせ”としながらも、サイタマさんがこだわったのは“通院しながら治療する”ということ。

「もともと、さみしがり屋というのもあって、1人でいるのがあまり得意じゃないんです。ステージ2のときは入院していたのですが、つらくて泣いてばかり。気持ちも落ち込んでしまったので」

 治療の日には、あえておしゃれをして出かけることも、前向きに向き合うための工夫のひとつ。病院へ向かう様子や、待ち時間に編み物をする姿なども動画で発信している。幸いにも、もう1種類の薬の効果が認められ、現在は3週間に1度のペースで治療を続けている。

休日に愛犬と彼氏とカフェへ(右・サイタマさん)
休日に愛犬と彼氏とカフェへ(右・サイタマさん)
【写真】抗がん剤の影響で「目も開けられないほどに」全身にできた赤い発疹

「毎回、同じ曜日に来ているので、看護師さんもいつものメンバー。会えるのがうれしくて、おしゃべりしに行く感覚ですね。病院の中にスタバがあるんですが、そこの店員さんとも顔なじみに。治療後のご褒美に立ち寄ることも、通院の楽しみのひとつです」

 とはいえ、治療がラクなわけではない。

「抗がん剤を投与した翌日から、吐き気やだるさが2~3日続き、食事もできない状態。関節痛や手足のしびれが出ることも。この期間は仕事を休ませてもらいますが、それ以外の日はフルで出勤しています」

 とても自然体なサイタマさん。それは周囲との人間関係も大きく影響している。

「家族や彼氏、親友たち、そして職場の人が応援してくれていて、ポジティブな言葉をかけてくれるので、助けられています。スキンヘッドにしたときも、彼氏は“かわいい”って言ってくれてうれしかったですね。

 がんになる前と後で、いい意味で人間関係は変わっていません。心配はしてくれますが、以前と変わらず接してくれるのが、ありがたいですね。そして、愛犬の存在も大きいです。副作用でつらいときも、そばにいてくれるだけで癒しになります」

 がんになってから、変わったことはあるのだろうか。そう尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「体重が増えて、体力がつきました。もともと食が細くて筋肉もなかったんです。でも、なるべく食べるようにして、体重も前より増えました。今は彼氏と一緒に暮らしているのですが、犬も飼うようになって、お散歩などで身体を動かす機会が増えたことで、ずいぶん体力がついたと感じています」

 昨年の夏からアルコールも解禁。最近はメイドカフェに行くことにハマっているというサイタマさん。

「月に1~2回くらいですね。親友と仲のよいメイドさんとのおしゃべりを楽しんでいます。休みの日はつい遊びの予定を入れちゃいます。あと、ギリシャ神話が好きなので、検定を受けてみたいなとも思っていますし、韓国語や英語など、語学にも興味があります」

 そんなふうに、治療の合間にも、日常を楽しむ時間を重ねている。同じように闘病する人たちへ、サイタマさんは思いを語る。

「1人にならないこと。周囲に甘えていいと思うんです。無理しすぎず、思い詰めないでほしい。髪が抜ける副作用も、人によってはつらいですよね。

 私はスキンヘッドにしましたが、今は良いウィッグもたくさんあります。これを機に金髪にしたり、ピンクにしたり、おしゃれを楽しんでもいい。がんの治療も日々進歩しています。あまり思い詰めずに共に今を楽しんでもらえたら」


取材・文/小林賢恵