目次
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ー 動画配信を開始したきっかけは薬の副作用
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ー 家族、恋人、親友、愛犬が心の支え

 日本人の2人に1人ががんになる時代。厚生労働省によると、がん患者のおよそ3人に1人は20~60代で発症しており、多くの人が仕事を続けながら通院・治療を行っている。

 がんの闘病は、もはや特別なものではなく、日常と地続きの出来事だ。

動画配信を開始したきっかけは薬の副作用

 ステージ4と診断された29歳の女性・ユーザーネーム「サイタマ」さんが動画配信サービスのTikTokで発信しているのも、そんながん患者の等身大の日常である。

「最初にがんと診断されたのは25歳の終わりです。のどのがん、上咽頭がんでしたが、リンパへの転移もあり、ステージ2と告げられました。抗がん剤と放射線の治療で、一度はがんを取り去ったのですが、その後の検査で再発がわかり、ステージ4に進行していました」(サイタマさん、以下同)

「最初にステージ2と診断されたときは、家族や周囲にがんに罹った人がいなかったこともあって、“まじか~”という感じで、感情もいっぱいいっぱい。不安でいろいろ調べたけれど、情報が多すぎて、結局よくわからない状態でした。考えたところで治るわけじゃない。だから、医師に言われたことをするしかないと。だから、ステージ4と診断されたときも、医師を信じるしかないと自然に思えました」

 抗がん剤投与と放射線治療のつらさを経験していたからこそ、再び同じ苦しみを繰り返すのかと思うと、気持ちが折れそうになることもあったという。

「再発して新しい薬を2種類試したのですが、そのうち1つの副作用が肌に出てしまいました。赤い発疹が全身に広がり、真っ赤に腫れて痛みも強く、目も開けられないほどに。その対処法が何かないかと、自分の肌の状態を撮影してアップしたのが、動画配信を始めたきっかけです」

抗がん剤治療の副作用で皮膚障害が出て、両腕に赤い発疹が
抗がん剤治療の副作用で皮膚障害が出て、両腕に赤い発疹が

 配信を続けるうちに、同じがん患者からのアドバイスや励ましのメッセージだけでなく、スキンヘッドでファッションやメイクを楽しむサイタマさんの姿に、「カッコいいです」という声も寄せられるようになった。

 友人とカフェに行ったり、家族とディズニーランドで遊び、恋人とデートをしたりする様子は、20代女性のごく自然な日常そのものだ。

「治療の影響で髪が抜けてしまうので、中途半端に残すより、思い切ってスキンヘッドにしました。もともと服飾系の大学に通っていたこともあって、スキンヘッドにはあまり抵抗はなかったですね。ユーザーネームの『サイタマ』も、スキンヘッドのアニメキャラクターから取ったもので、埼玉県出身というわけではありません(笑)。

 スキンヘッドにすると、朝の仕度に時間がかからなくなってラクですよ。でも、冬は寒くて風邪をひきますし、夏は直射日光を受けてとにかく暑いです。頭で目玉焼きが焼けるんじゃないかってくらい。あと、鼻毛も抜けちゃうので、気がつくと鼻水がたれていることがあります」