現地の人の声をもっと聞きたいという意欲が
一方で、愛子さまの慈愛に満ちたまなざしと振る舞いに心を打たれたという。
「次の懇談者のほうに移動する途中、愛子さまがふとこちらを向き、真っすぐに目を見て一礼してくださったのです。もっとお話を……と思ってくださったように感じました」
前出の高村館長も同様の印象を抱いていた。
「愛子さまから“もっとお話を聞きたい”という熱意が伝わってきましたね。予定にはなかったのですが、若い語り部のスタッフを、少しでも興味を持っていただけたらと思い、急きょ紹介させていただきました。すると、愛子さまは、同世代による伝承活動に強い関心をお持ちだったようで、積極的に言葉を交わされていました」
現地を訪問した前出の記者も、その積極的で“異例な振る舞い”に驚きを隠さない。
「訪問全体を通して、“現地の人の声をもっと聞きたい”という強い意欲を感じました。懇談は1人約5分という限られた時間。終了の合図があっても、愛子さま自ら話題を振られ、対話が弾む場面も多く見受けられました」
小田部名誉教授は、「戦後の皇室は、多くの国民と触れ合い、声を聞こうとする傾向が強い」としたうえで、こう分析する。
「中でも、天皇ご一家はそのお気持ちが強く、なるべく多くの国民の声を聞こうとされています。とりわけ愛子さまは、幼少期から他者への思いやりの念が強く、それが福島訪問でも自然に表れたのでしょう。日程上、時間の制約は避けられませんが、愛子さまの真摯な姿勢を鑑みれば、今後は公務の形式も柔軟に変化していくかもしれません」
被災地に寄り添う精神は、両陛下から愛子さまへと確実に受け継がれていく。
「被災地の現場を訪れ、復興に励む人々と懇談し、生の声を聞く。その声を多くの国民に伝える役目を果たされることは、今後の若い皇族のあり方や、公務の意味について大きな影響を及ぼしていくはずです」(小田部名誉教授)
愛子さまの深い慈しみの心があふれ出す訪問となった。
小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代皇室史を専門とし、『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』など著書多数

















