そんな『あまちゃん』の成功を、ほかの自治体もただ指をくわえて見ているばかりではいられない。“二匹目のドジョウ”を狙って地方自治体も積極的に動き出す。ところが、結果的には思うような成果を上げることはできなかった。

ほとんどの自治体が一過性の対応で終わっていた

 いったい、何が問題なのか。

朝ドラや大河ドラマの舞台に選ばれても、当時は観光課の中に放送期間に『特別推進室』ができるだけ。放送が終わったら、きれいさっぱりなくなってしまう。これでは放送期間中に訪れる観光客が増えるくらいの効果しか期待できません。ほとんどの自治体が一過性の対応で終わっていたんです

訪れるファンが減ることのない『あまちゃん』のロケ地、岩手県久慈市。“聖地巡礼”を成功させた先駆け的な場所になった
訪れるファンが減ることのない『あまちゃん』のロケ地、岩手県久慈市。“聖地巡礼”を成功させた先駆け的な場所になった
【写真】主人公気分が味わえる! 今や名所となった人気作品のロケ地

 こうした失敗を積み重ねるうちに、映画やドラマ・旅番組のロケ地を訪ねて、その地域の風景や食、文化、人との交流を楽しみ、その魅力を再発見する“ロケツーリズム”という考え方が生まれる。

ロケ地となった地域の魅力を効果的に発信することで、観光誘客や地域振興のプロモーションにつなげる。“ロケツーリズム”による地方創生が『あまちゃん』をきっかけに全国の地方自治体を巻き込み、大きなムーブメントとなっていきました

 では聖地巡礼者は、ロケ地に何を期待しているのか。エンタメ好き3000人に聞いた!ロケ地で楽しみたいことアンケート(「ロケーションジャパン」調べ)によると、

【1位】ロケ地周辺の観光スポットに立ち寄りたい
【2位】記念写真、なりきり写真を撮りたい
【3位】その地域の名産品が食べたい・買いたい
【4位】有名人が食べたグルメを食べたい
【5位】撮影裏話が聞きたい

 こうした聖地巡礼者のニーズを捉え、“ロケツーリズム”の波にうまく乗ることができた地方自治体の例をいくつか紹介しよう。

 山田編集長の頭にまずパッと浮かぶのが、静岡県の西伊豆町と伊東市だという。特に西伊豆町は人口6500人程度の小さな港町だが、'20年からわずか4年で映画やドラマ、情報番組などのロケがなんと10倍に増えているという。