「その秘密は町長自ら音頭をとって、『ロケさぽ西伊豆』を立ち上げ、官民一体となってロケ地紹介から炊き出し、宿泊先までお世話をしています。'22年には高視聴率を叩き出した、なにわ男子・道枝駿佑さん主演のドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)が“無人島に見える光景”を探していると聞き、町長が田子瀬浜をロケ地として推薦。
撮影後には、桟橋のセットを譲り受け、黄金崎クリスタルパークに展示して今も多くのファンが訪れています。また去年の朝ドラ『あんぱん』ではヒロイン、のぶ(今田美桜)が、丹野平から絶景を前に『手のひらを太陽に』を歌い、アンパンマン誕生の重要シーンも記憶に新しいところです」
ロケスケジュールが組みやすい伊東市
こうした“ロケ地”を生かす町ぐるみの挑戦が功を奏して、直接的な経済効果はもちろんのこと、広告換算効果や関係人口も大幅に増加。ふるさと納税の返礼品にも注目が集まっている。
一方の伊東市も負けてはいない。隣の熱海市に影響を受けて、積極的に活動した結果、今ではドラマや映画だけでなく情報番組でも引っ張りダコのようだ。
「伊東市には昭和の商店街もあれば、海で青春ものも撮影できる。しかも東京から比較的近く、ロケスケジュールが組みやすいのも魅力の一つです」
こうした成功を目の当たりにして同じ静岡県内の三島市も今年、ブレイクする兆しをみせている。東京から近い伊豆半島は今、ロケ地を巡って市町村の熱い闘いが繰り広げられているのだ。
しかし日本のロケ地の素晴らしさに気がついたのは、日本人だけではなかった。なんと“世界のハリウッド”が、日本のロケ地に大注目。オール日本ロケを行った映画『レンタル・ファミリー』が、今年の2月末に公開されている。
「本作は『ザ・ホエール』('22年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞した名優ブレンダン・フレイザーが主演。東京に暮らす落ちぶれたアメリカ人俳優フィリップが、“レンタル家族”という仕事に出合い、家族の一員や友人の役割を演じるうちに想像もしなかった人生を体験するといった展開を見せます」
中でも山田編集長の目を引いたのが、フィリップが喜久雄(柄本明)の故郷・長崎県天草市を目指して旅をする場面である。
「今や誰も住んでいない喜久雄の生家の佇まい、巨大なアコウの木が岩を抱えるように根を張る神秘的な“西平椿公園 ラピュタの木”も圧巻でしたが、私はフィリップと喜久雄が海路で天草を目指す前に登場する“日本一海に近い駅”として知られる島原鉄道・大三東駅の美しさに息をのみました」
有明海を背にして屋根も柵もないホームは、これまでも多くの映画やドラマの舞台になってきた唯一無二のロケ場所。短いシーンだが、ハリウッドも認めたこのロケーションには洋の東西を問わず、人間の心を酔わせる何かがあるようだ。
「以前から“ロケツーリズム”に取り組んできた島原市のすごいところは、シティープロモーション課の中にロケツーリズム班があることです。しかも市長直轄だから、決裁がとても早い。民間とタッグを組める若手職員が部署横断的にチームをつくって、PR動画をはじめ、さまざまなコンテンツを発信しています」
長崎県といえばもう1か所、忘れてはならない山田編集長いち推しのロケスポットがある。

















