春巡業の過密すぎるスケジュール

 なぜこれほど離脱者が続出するのか。背景にあるのは、巡業の過密スケジュールである。

 日本相撲協会の公式発表によれば、2026年春巡業は3月29日の伊勢神宮奉納から始まり、4月26日の埼玉県入間市まで全国を回る。この約1か月間で力士たちに与えられる休養日は、4月6日と4月14日のわずか2日のみ。29日間で27回もの興行をこなし、移動距離は3,000キロ以上にも及ぶとされる。

「巡業は本場所と異なり、地方のファンが普段なかなか見ることのできない力士に会える貴重な機会です。1人あたり約10,000円〜20,000円とチケットは決して安くなく、タマリ席ともなればもっとします。遠方から楽しみにして足を運ぶファンにとって、お目当ての力士が休場というのはガッカリですよ」(相撲ライター)

 一方で、日本相撲協会の経営は絶好調。

 3月23日に発表された2025年度決算では、約13億2900万円の黒字を記録し、3年連続の増益となった。年6場所すべてで入場券が完売し、本場所での親方売店が1場所15日間で1億円以上を売り上げるなど、グッズ販売も好調。さらにはロンドン公演の収益も加わり、純資産は292億円に達している。

 しかし、こうした「協会の繁栄」が現場の力士たちにどれほど還元されているのかは疑問が残る。幕下以下の力士は依然として無給であり、過密日程の中でケガを抱えながら出場を続ける力士も少なくない。

 協会の収益は上がり、日程は詰め込まれ、力士は疲弊し、休場者が続出し、結果としてファンが割を食う。この悪循環を断ち切らない限り、相撲人気の持続的な発展は難しいのではないだろうか─。