「いいかげんにしろ!」と怒られた理由

─脚本になったものを、すでに読まれたそうですね。

「僕はまだ脚本家の方にお会いしてないんですけど、『どうしてそういうふうにできたんですか?』って聞いてみたいんですよ。エッセイは週刊連載でやっていたものなんで、各話ごとに小さなエピソードがいっぱい入っているんですけど、それを本当にうまく縫って縫って縫って、ひとつの物語にしてもらっているんです。

 僕の中で『そのエピソードとそのエピソードは一緒じゃなかったな』みたいなことがひとつの物語として成立しているのを読むと、『そこがひとつにつながるのか!』と不思議なぐらいで、逆に『なるほど、そう書けばよかったのか』と思ったりもしました(笑)

─ドラマの主演は高橋一生さんです。

「あの……前にAV監督の二村ヒトシさんに『あなたは自分が主役みたいな話ばっかり書いてるから、映像化したときに森山未來とか成田凌(映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』では森山未來、配信ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』では成田凌がそれぞれ主役を務めた)があなたの役をやってる。いいかげんにしろ!』とトークイベントで怒られたことがあって。

 それで僕もお客さんの前で『もう二度とこういうことはしません』って言ったんですが……自分としても“舌の根も乾かぬうちに”とはこのことだなと思いながらも……本当に光栄なんですけど(笑)。

 だから今回、高橋一生さんにどう演じていただけるのか、とっても楽しみです。自分の小さいころだったり、大人になってからの地味な話もエッセイにはいっぱい出てきて、そのどれもが一生さんが演じられていた『岸辺露伴は動かない』みたいな華やかな役とは違うんですけど、普通の方を演じるのもとってもうまい俳優さんだと思うんです。

 僕のような普通に生きてきて、なんかいろんなことがあって、たまたま書いちゃった……みたいな人間を演じていただくには、もうベストな方だと思います」

─エッセイは「食」が大きなテーマですが、燃え殻さんは「自分はグルメではないから」と当初、連載を断ろうと思っていたそうですね。

編集者からの依頼のメールを半年くらい置いてました。『ちょっと考えさせてください』って(笑)。でも、『これまで書かれてきたエッセイの中にも、食のアイテムが出てきてますよ』『同じ料理でも、誰と一緒に食べたかで、記憶の残り方は変わりますよね』『チョコレートとか、サッポロ一番でもいいんです』と説得されて、書くことになって。

『食は切り口でよくて、人との思い出を真ん中に』と言われたとき、確かに、自分では忘れていたことでも、同じものを食べたときにパッと思い出すみたいなことってあるよな、と」