目次
Page 1
ー タイトルは「どんな人生にも名ゼリフはある」
Page 2
ー Xでバズりたいと思わなくなった
Page 3
ー 今の年齢の自分が本当に書き残したいものと向き合いたい

前連載を単行本化した『この味もまたいつか恋しくなる』のドラマ化が決まり、活躍が目覚ましい作家・燃え殻さんが、週刊女性にまた帰ってくる。次号からのスタートを記念して、新連載のテーマについて語ってもらった。

タイトルは「どんな人生にも名ゼリフはある」

 家族や友人、仕事相手の何げないひと言、あるいは、喫茶店で隣の席から聞こえてきた他人の会話。

 日常の中で、ふと耳にした誰かの言葉がまっすぐ心に刺さった経験はないだろうか─そんな、僕にとって「名ゼリフ」として心に刻まれた悲喜こもごもの言葉を主役にした連載エッセイ。タイトルは「どんな人生にも名ゼリフはある」。

 次号から、いよいよ始まる、新連載のテーマについて、作家・燃え殻さんに語ってもらった。

自分は今、何だったら書けるのか……ということを編集者と考えるなかで、提案されてたどり着いたテーマです。前回の連載は、料理をきっかけに思い出す人や物語がテーマでした。それと同じで、“人の言葉(名ゼリフ)”をきっかけに、思い出す情景や感情の揺らぎなら、書けそうだな、と思いました。

 例えば、誰かと一緒に映画を見に行って、鑑賞後に相手がどんな感想を口にするか、すごく怖いじゃないですか。昔、新宿テアトルに『東京日和』を一緒に見に行った女の子が、何と言ったか……。“名ゼリフ”ってキーワードのもとに、かつての誰かに言われた言葉を探しにいって、それを主役にものを書くっていうのは、ありだなと」(燃え殻さん、以下同)

 タイトルのキーワードとして、当初は「名言」が候補に挙がったが、仰々しい印象を避けるため、「名ゼリフ」に改めたという。

「Xとかでも、人生の教訓とか、『名言bot』みたいなアカウントってあるじゃないですか。僕もかつて、Xでその類いの言葉をつぶやいて、バズってた時期があるんですけど、今は雑誌の連載などで書く文章には“名言”を入れたくないと思っています。

 エッセイで、それを書いてしまうと、SNSでバズる文章との差がなくなっちゃう。名言じゃなくて、“名ゼリフ”なら、その領域から逃げられるんじゃないかと

「名ゼリフ」なら、「名言」と違って、いつどこで誰が言ったかによって、言葉の意味合いも、強度も変わる。そこに魅力を見いだしているようだ。