文章を書くときの、自分のスタイルを俵さんに言語化してもらった気がしたという。
「言われるまで、気がついてなかったんですけど。昔から大好きな竹中さんにお会いしたことを特別なこととして書くのが嫌で、ただ、日記みたいに書きたかった。『竹中さんに会えた、すごい日だった!』って書いて、次の日が普通だと、テンションがガタガタになるじゃないですか。
常に同じテンションでいきたいんですよ。いい日も、悪い日も一緒。浮かれもしないし、バッドにもなりすぎない、みたいにやっていかないと、特に週刊連載みたいなものは、続かないと思うから」
今の年齢の自分が本当に書き残したいものと向き合いたい
ひょんなことから作家になって10年がたち、書きたいことが変わってきたと話す。
「年齢が53歳になったのもあるんですけど、かつて書いてきた“修学旅行の前夜”みたいな、恋愛話とか、学生時代の青春話とかを書きたい気持ちがどんどん減っていて。
今の年齢の自分が本当に書き残したいものと向き合いたいな、と。10年後には絶対書いてないだろうな……ってことが、今、自分の中にたくさんある気がしているので」
人生の節目で、どんな名ゼリフに出会ってきたか、どんな名ゼリフに笑わされたか、はたまた、救われたか─
“事実は小説より奇なり”ということわざが示すとおり、案外、名作の演劇や映画、小説の世界より、なんてことない日常にこそ、とっておきの“名ゼリフ”が転がっているのかもしれない。
その面白さに着目した新連載「どんな人生にも名ゼリフはある。」にご期待ください。
取材・文/兵庫慎司
もえがら 1973年、神奈川県生まれ。テレビ番組の小道具制作会社勤務を経て、2017年に小説家デビュー。小誌で連載し、単行本化されたエッセイ『この味もまたいつか恋しくなる』がNHKにて、主演・高橋一生でドラマ化決定。2026年秋以降放送予定

















