中高年になった同級生たちの人生を菜乃子が傍観する中で、著名な小説家となった倫子が、とある悩みを持つ少女に「そこにいるだけでいい」と声をかける場面がある。

「そのままでいいんですよ」

「当たり前で大事な言葉ですが、誰かに言ってもらえる機会はそうそうないですよね。これまで小説を書いてきたのに、どうしてこの言葉を書いていなかったのだろうと不思議に思いました。

 今回の小説は自死を扱っている話ではありますが、誰に対しても『そのままでいいんですよ』というメッセージを込めています。読者の方にそれを受け取ってもらえたらうれしいです

最近の窪さん

ここ2年ほど毎日、『Speak』と『Epop』という英語学習アプリを続けています。『Epop』は韓国のアプリで、韓国の高校生や大学生が多く使っているんですね。毎週日曜日にランキングが発表されるのですが、私は最高ランクまではいけるけど、まだ1位を取れていなくて……。今は1位を目標に、韓国の若者に交じって頑張っています

窪美澄著『君の不在の夜を歩く』(新潮社) 税込み1980円
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【写真】喪失と再生を描いた窪美澄さんの話題の最新作

取材・文/熊谷あづさ

窪美澄(くぼ・みすみ) 1965年、東京都生まれ。2009年『ミクマリ』で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が本の雑誌が選ぶ2010年度第1位、2011年本屋大賞第2位に。同年、同書で山本周五郎賞を受賞。2012年、第2作『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、2019年、『トリニティ』で織田作之助賞、2022年『夜に星を放つ』で直木賞を受賞。そのほかの著作に『アニバーサリー』『よるのふくらみ』などがある。