今でも未知の美容法を求めて自ら世界中に赴く

世界各地にあるさまざまな美容法を、現地へ行って自ら試し、日本へ持ち帰った
世界各地にあるさまざまな美容法を、現地へ行って自ら試し、日本へ持ち帰った
【写真】バースデーパーティーでたかの友梨を祝った“豪華”有名人

 月に数回、たかのはテレビショッピング・通販番組『QVCジャパン』のスタジオを訪れ、自ら商品を紹介する。

 多いときは24時間の間に1時間×5コマをこなし、紹介している商品の売れ行きが芳しくないと感じるや(QVCは、常に画面上で今どれくらい売れているかがわかる)、すぐに他の商品にフォーカスを移す。体力、才覚共にまるで衰える気配はない。

 たかの同様、『QVCジャパン』に出演する前出・藤島さんは、「あの人を見ていると、自分はまだまだひよっこだと痛感する」と眉を下げて笑う。

「私も負けず嫌いですけど、まぁ~負けず嫌いな人です(笑)。そして、昭和の豪傑おじさん感がありながら、女性らしさにとてもこだわりがある人。例えば、LINEでやりとりをしているときに、私がコミカルなスタンプを送ると、『そんな下品なスタンプは使うんじゃない』と真剣に怒るんです。たかの先生は、いつも可愛らしいスタンプを送る人で、乙女な部分をおざなりにしない」(藤島さん)

『QVCジャパン』に出演中、世界的な大ヒット曲『APT.』がかかると、たかのはノリノリで踊り出す。「おんな一代記」を地で行くような人生を送る彼女に対して、「怖そう」というイメージを持つ人もいるだろうが、実際のたかのはチャーミングだ。

「ただ、先生が現れると空気が一変するような雰囲気がある。一方で、私が敬語を使うと嫌がって『タメ口でいいよ』なんて言ってくれる。威厳はあるけど偉ぶらない」(藤島さん)

 同じ実業家として、藤島さんから見た、たかののすごさとは何だろうか?

「女性でありながら、あらゆるジャッジを単独で下せるスピード感や判断力。私は緻密に計画して実行するのですが、先生は直感やひらめきで動ける人。主人公なんですよ。しかも、少女マンガではなく少年マンガの。元気や勇気をもらえるので、60歳を過ぎた私もまだまだ面白いことがたくさんできる─そんな刺激をいただける存在です」(藤島さん)

世界各地にあるさまざまな美容法を、現地へ行って自ら試し、日本へ持ち帰った
世界各地にあるさまざまな美容法を、現地へ行って自ら試し、日本へ持ち帰った

 たかのは、美を求めてあらゆることを吸収してきた。インド、スリランカ、エジプトにザックひとつで乗り込んでは、未知の美容法を自らの身体で体験し、日本に持ち帰った。脱毛、痩身が主流だった業界で、いち早くリラクゼーションを取り入れ、今では当たり前になった美容広告に男性タレントを起用する─その先鞭をつけたのも、GACKTを起用した「たかの友梨ビューティクリニック」だった。

 だが、喜寿を超えたたかのは、「私は125歳まで生きる」と豪語し、「まだ夢の途中」と言ってはばからない。

「今年4月に、これまで培ってきたエステの知識と経験に、先進的な美容医療を融合させたYURIメディカルクリニックを新宿に開院した。化粧品を入り口としてエステに来ていただき、クリニックへ。いくつになってもお客様の美容や健康の橋渡しをする。それが私の役割」

 プライベートでは、再婚した14歳年下の夫と2人の娘と充実した時間を過ごす。

「男は調子に乗せないことが肝要よ(笑)。私が仕事を頑張れたのは、1人の男からずっと愛される自信がなかったからかもしれない。だからね、夫がごちゃごちゃ言ってきても、一緒にいられる女性は自信のある人なんだと思う。私はできなかった。そこに自信を持ってほしいですね」

美容家、実業家・たかの友梨(撮影/齋藤周造)
美容家、実業家・たかの友梨(撮影/齋藤周造)

 再婚こそしたが、今なお男性を見るたかのの目は鋭い。取材中、男である筆者は、何度ヒヤリとさせられたことか。ただ、次の瞬間、柔和な顔で「冗談よ」と場を和らげる。その変幻自在の人心掌握に、時代を創る手腕を垣間見た。

「世の中に求められてるうちは生きないといけないでしょ。世の人々が美を求め続ける限り、私もやることがある。これから大変な時代になるよ。エステもクリニックも淘汰が始まる。腕が鳴るわね」

 そう言うと、たかのは不敵に笑った。

 魂が堕落し、生活が不健全であるならば、どんなに見た目が美しくても意味はない。美しさとは外見ではなく、生き方に表れる。現に、世界を見渡せば、丸々と太ることに「美」を見いだすアフリカの部族だっている。どう生きるかが美しさをつくり出すのなら─。

 白雪姫の女王は、「鏡よ、鏡よ、鏡さん」と聞かなければいけなかった。だが、自らの力で切り拓いてきた彼女は、鏡に聞かなくても、美しさとは何かを知っている。

<取材・文/我妻弘崇>

あづま・ひろたか フリーライター。大学在学中に東京NSC5期生として芸人活動を開始。約2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクション勤務を経て独立。ジャンルを限定せず幅広い媒体で執筆中。著書に、『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー』(共に星海社新書)がある。