「男は裏切るけれど、仕事は裏切らない」

経営者として指導者として、多忙な日々を送ってきた
経営者として指導者として、多忙な日々を送ってきた
【写真】バースデーパーティーでたかの友梨を祝った“豪華”有名人

「(たかの)院長は、日頃から自立しなさいということを社員たちに伝えています」

 そう話すのは、1991年に入社し、現在は取締役を務める鈴木順子さんだ。

「腕ひとつあれば火事になっても、男と別れても、生きていける。実は私自身も離婚を経験しているのですが、『何でもできる』って思っています(笑)。院長は、単に女性実業家として成功を収めただけでなく、女の子たちが堂々と胸を張って仕事ができる場所をつくってくれた存在ですね」(鈴木さん)

 たかのは経営を拡大していく中で、入社してくるエステティシャンたちに、将来家を持つようにアドバイスしていた。時には、会社で頭金を融資し、ローンを組むことで、若いうちから自立できるようにした。これは、たかの自身が不動産を担保にすることで融資を得て、新しい店舗を構える─身分保証のための不動産の価値を知っていたからこそである。女性として自立せよ。男は裏切るけれど、仕事は裏切らない。それがたかのの哲学であり教訓だった。

「技術的なことはもちろんですが、挨拶や立ち居振る舞い、人として必要なことを教えてくれる。親よりも院長から教わったことのほうが多い。仮にここを辞めたとしても、一生ものなんですね。姑さんや近所の人たちともうまくやっていける術を身につけられる。女性がほとんどの会社だからこそのアイデンティティーだと思います」(鈴木さん)

 たかのを慕う和田アキ子は、「私は番長って言われるけど、だったらゆりっぺ(たかの)は総長や」と冗談めかして話しているが、鈴木さんをはじめ、たかのと長年仕事をしている女性社員は、みな笑って首肯する。ある実業家は、たかのをこう評した。

「女にしておくには惜しい」

 だが、筆者は取材を通じて思う。この凛とした強さは、女性だからこそ。

 友人であり、ファッションブランド「アンコキーヌ」をプロデュースする、同じく女性実業家である藤島彩子さんも、「義理と人情と華やかさが同居する稀有な人」と舌を巻く。

「たかの友梨ビューティクリニック」が快進撃を続けると、次第に競合他社が増加。エステが市民権を得るようになると、「金になる」と嗅ぎつけた怪しげな業者も参入してきた。しかし、たかのは1981年の段階で、育成機関「日本エステティック学院」を設立し、人を育てることに先見の明を持っていた。

 エステティシャンは女性であるがゆえに結婚や出産で退職してしまう、さらには国家資格ではないため技量にばらつきが出やすい。「たかの友梨ビューティクリニック」は、技術を、信用を、夢を提供する場所であり続ける─そんな矜持が通底しているからこそ、大手サロンが倒産し、業界全体が冷え込んだ時期も致命傷を免れた。実際の利用者満足度調査に基づく、2023年のオリコン「ブライダルエステ」でも、「たかの友梨ビューティクリニック」は3年連続総合1位に輝くほどである。