認知症の改善に手遅れはない

 鴫原先生は、「認知症の改善に基本的に手遅れはない」と断言。ただし、大切なのはゴールの設定を間違えないこと。

「認知機能を二十歳のころに戻そうとする必要はありません。今の生活で困っていることが、少しでも改善して楽しく暮らせる力が取り戻せればいいんです。あるいは、進行のスピードを緩やかにする。そうした現実的なゴールであれば十分に達成可能です」

 もし「最近、物忘れがひどくなったかも?」と不安を感じたら、まずは受診することが重要。

「病院へ行くのは怖いかもしれませんが、他の病気ではないことを確認しに行くだけでいいんです。認知症だと思い込んで受診したら、脳腫瘍やてんかん、甲状腺の病気など、別の原因が見つかり、治療で改善するケースも。健常であっても自分の生活を見直すきっかけになります」

 鴫原先生が最も危惧するのは、誤解によっていらない苦しみを抱えること。

「認知症と絶望する必要はありません。日々の習慣を変えれば、今からでもけっこう良い状態にすることは可能。その事実を知ることが、明日を明るくする第一歩です」

今日から始める、認知症を遅らせるメソッド

□朝日を浴びる

 毎日同じ時間に起き、目覚めたらすぐ朝日を浴びると体内時計がリセットされ、脳と身体が正しく働く

□定期的な運動をする

 身体が健康だと脳の健康も維持しやすい。1日の運動量は少なくても運動を習慣にすることが大切

□人と交流する

 人との交流がないと認知機能が下がるという研究結果が。SNS利用でも効果があるので積極的に取り入れて

□趣味を楽しむ

 頭と身体を使わないのは認知症の2大原因。ワクワクする趣味を見つけると脳が活性化するのでおすすめ

□外出する

 家にこもってテレビや新聞ばかり見ていると、生活リズムが崩れがち。外出時には身だしなみにも気を使うので脳への刺激になる

□持病を治療する

 特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を放置していると認知機能の低下につながる。まずは病院で治療方法の相談を

鴫原良仁先生 認知症サポート医、脳科学者。北斗病院精密医療センターセンター長、十勝リハビリテーションセンター「もの忘れ外来」医師。『脳科学者でもの忘れ外来医師が教える認知症はけっこう良くなる』(河出書房新社)が発売中。
鴫原良仁先生 認知症サポート医、脳科学者。北斗病院精密医療センターセンター長、十勝リハビリテーションセンター「もの忘れ外来」医師。『脳科学者でもの忘れ外来医師が教える認知症はけっこう良くなる』(河出書房新社)が発売中。
【写真】今日から予防「認知症を遅らせる」6つのメソッド
教えてくれたのは…鴫原良仁先生 認知症サポート医、脳科学者。北斗病院精密医療センターセンター長、十勝リハビリテーションセンター「もの忘れ外来」医師。『脳科学者でもの忘れ外来医師が教える 認知症はけっこう良くなる』(河出書房新社)が発売中。

取材・文/荒木睦美