国連が強く介入すべき種類のものではない

 世界の“女性への継承”という潮流を長年研究されてきた君塚教授。皇室典範改正から約1か月半がたつ現在、どう見えているのか。

私の意見は、女性に継承権を与える。これは'21年の『皇位継承の在り方を検討する有識者会議』以降変わっていません。やはり世界の潮流として女性でも皇位を継承できるように制度を改正し、その第一歩は、愛子さましかいないと思います。今回の皇室典範改正について私は『始まりの終わり』と表現しますが、皇室典範改正の実現自体は大きいことといえます。改正の議論を通して国民の皇室への理解も深まったように思うので、今後の改正への始まりと捉えることもできます

 また、女性の皇位継承に関しては、国連から厳しい視線が注がれている。

国連の女性差別撤廃委員会のバンダナ・ラナ氏は皇位継承を男系男子に限る皇室典範について“女性を従属的な立場に置き、家父長的規範に基づいている”と批判しました。
'24年には、同委員会が皇室典範の継承規定は“女性差別撤廃条約の目的や趣旨と相いれない”として改正を勧告していたこともあり、ラナ氏は日本が対応するまで勧告を継続する旨を表明しています」(前出・全国紙社会部記者)

ノルウエーのハーラル5世の棺が王宮礼拝堂へと移される様子。右はアレクサンドラ王女(写真/共同通信)
ノルウエーのハーラル5世の棺が王宮礼拝堂へと移される様子。右はアレクサンドラ王女(写真/共同通信)
【写真】天皇、皇后両陛下のオランダ国王夫妻とのW杯観戦でレアな“自撮り”写真

 しかし、君塚教授は国連の皇室に対する介入には苦言を呈する。

王位や皇位の継承方法というのは極めて繊細な国内の歴史と伝統に関わる事柄であり、国連が強く介入すべき種類のものではないと思います。重要なのは、外圧によって変えることではなく、日本国民自身がヨーロッパなどの王室を見て、自発的に“自分たちの力で皇室をよりよい形に変えていくべきだ”と気づくことです。その参考になるのは、他国の素晴らしい例でしょう。例えばハーラル国王が崩御された際、国民が自発的に花を手向け、国全体が悼むムードに包まれたことは、国王が国民に深く愛されていた証明です。そのような存在を自然と望むようになることが本筋といえるのではないでしょうか」

 今年6月の記者会見で、陛下は「皇室のあり方や活動の基本は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすること」と述べられた。国民にとっての皇室とは、どのような存在なのかーー。

君塚直隆 駒澤大学法学部教授。イギリス政治外交史などを専門とし、著書は『エリザベス女王 増補版 史上最長・最強のイギリス君主』(中央公論新社)ほか多数