子どもたちが自ら考えるきっかけになる絵本を
――子どもたちに戦争を伝えるにあたり、意識された点は?
「企画を進める中で、幼少期に戦争を題材にした作品を見たせいでトラウマになったという声を耳にしました。なので、怖い話にするのではなく、“うんこの話だよ”とアプローチすることにしました。
小学生で、特に男の子は、うんこの話が大好きじゃないですか(笑)。気軽に読み始めたら、実は戦争の話で、子どもたちが自然と戦争について考えられる。そんな本を目指して、残酷な描写があまり出てこない、かわいい絵で読みやすい絵本にしました」
――いちばんこだわったポイントは?
「子どもたちに“面白そうだな”と自主的に読んでもらったうえで“なんで戦争ってやるんだろう?”という疑問を自分で考えてほしい、ということ。テレビのニュースで戦争の映像を見ても、子どもには現実味がない感じに映ることもあると思うんです。でも、自分のおじいちゃん、ひいおじいちゃん世代は日本で戦争を経験している。
テレビに映っている海外の戦争では、自分と同世代の子どもが亡くなっているかもしれない。子どもたちが現実味を持ってニュースを見るようになってほしい、という思いを込めました。
大事なのは、戦争を経験した人の話を聞いて、怖さを“自分事”にすること。戦争は“やらなきゃ誰も死なないのに、なんでやるのか”という原因を考えることでしか、防げない気がするんです。この2つのメッセージが、絵本を通して伝わればいいなと思っています」
――作画を担当された松本さんの絵にも、こだわりが詰まっている?
「そうなんです。白に塗った木板に、水彩やアクリル絵の具で下絵を描き、それを撮影してパソコンのソフトに取り込んだ後、デジタル上で重ね描きをして仕上げるという、アナログ絵画とデジタル制作を融合させた技法を用いています。
その結果、温かみがあり、どこか懐かしい雰囲気を出しつつ、キャラクターは可愛らしく仕上がりました。子どもが夢中になって読んでくれるよう、かなり凝った作画をしてくださいました」
――出版してからの反響は?
「絵本を制作するにあたって、甲府で暮らす親戚やその知り合いに話を聞いたんです。甲府空襲では、町の約7割が焼けて1,000人以上が亡くなったのですが、メディアなどで取り上げられる機会は、ほとんどないんです。
そのため、地元の方からは“甲府空襲のことが絵本に残ってうれしい”と言っていただきました。実際に空襲を経験された方に喜んでいただけて、作ってよかったと強く実感しました」



















