その思いに対する答えの1つが、私がご提案し続けている“健康体操”です。

 この体操は、「動かして 力を入れて 考える ただそれだけで 衰え予防」というシンプルな考え方で行います。中でも特に重要なポイントは、「考える」ことです。

 体操は、「身体を操る」と書きます。自分の思うように身体を操ることができれば、介護は必要ありません。

1日10秒の体操で「自分らしく」いられる

 ではちょっと考えてみてください。

 何もないところでつまずいた、部屋に入るときドアや壁にぶつかってしまった、食事の時にむせやすくなった、そんな経験はありませんか?

 これは、身体を思うように動かすことができていないから起きることです。

 頭ではわかっている。でも、実際に、身体を動かそうとしてみるとうまくいかない。何も対策をしていないなら、年を重ねれば重ねるほど、この現象はつきものです。

 何もしない、何も考えない、何も意識しない。実はここから、老化は進んでいきます。つまり、何かをすればいいのです。

ごぼう先生の体操は、イスに座ってできるのでお年寄りにも優しい
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 元気で自分らしくいるために大切なのは、自分の身体や心に対する「意識」と身体を動かすことの積み重ね。1日10秒からの健康体操で、ずっと元気で自分らしくいられるんです。衰えを防ぐには、まず「意識」することから始めましょう。

 おすすめの健康体操の1つ目は、「身体洗い」の体操(コツコツ体操1)です。

 やり方は簡単。いつもスポンジやタオルで自分の身体を洗っていると思いますが、あえて自らの「手」で洗います。肩回りの可動域や、足回りの筋肉量、お腹、お尻のたるみ具合などを、「手」でチェックしながら洗い進めていきましょう。

 揉んだり、マッサージをしたりするのではなく、自らの身体を触りながら今の状態を「確認」してみてください。頭の中で考えていた自分の身体と、実際に触ってみた身体に違いはありませんか? 「思ったより肉がやわらかい……」「知らないうちに足の裏がガサガサしていた……」など、まずは違いに気づくことがポイントです。