「人が使ったものを、よく金を出して買うな」

 そして、“やはりこの人とは結婚はできない”と思ったのは、こんな発言があったからでした。

 吉田さんは、服、バッグ、時計など、身につけるものは安物を買わず、デパートでそれなりに値の張る一流品を買うのが好きでした。

 それを一定期間身につけて飽きると “ヤフオク!”に出し、売れた金額にさらにお金を足して、次の買い物をしていたのです。

 ある時、スマホを見ながら、ボソリと言いました。

「あ、思ったよりもずっと高い値段がついているな」

 そして、耳を疑う言葉を続けたのです。

「まあ、よくも人が使い古したものを買う気になるよなぁ〜」

 それは、先日、出品したバッグのことでした。

「でも、吉田さんが使わなくなったのだから、ほかの方に使っていただいたほうが、バッグも幸せでしょう?」

「僕は、絶対に嫌だね。人のお古だなんて」

 その言葉を聞いたときに、麻里恵さんは“吉田さんとの結婚を前向きに考えよう”と思っていた気持ちがスーッと引いてしまったと言うのです。

 自分がいつも優位に立って人を見下す。それが吉田さんの人間性なのだ、と。

 この人と結婚したら、夫婦が同じ目線で話し合うのではなく、いつも彼が上に立ち自分が下に見られるだろう。

 このデートの後に、麻里恵さんは吉田さんに「交際終了」を出しました。