口癖が「〇〇するヤツはバカばっか」

「私、藤村さんと真剣交際に入ります」

 依田久美子さん(34歳、仮名)が、笑顔でこう伝えてきたのは、2か月ほど前のことでした。

 その時、久美子さんは、藤村正之さん(34歳、仮名)のほかに、大山国治さん(38歳、仮名)、飯島賢治さん(40歳、仮名)とも食事やデートを重ねていたのですが、その中で真剣交際の相手として選んだのが藤村さんでした。

 藤村さんを選んだ理由は、こうでした。

「大山さんは、自分がやりたいことを優先する人。デートも私が食べたいものではなく、自分の行きたいお店に行くんです。デートよりも自分の趣味の釣りが優先でした。

 飯島さんは、女性のエスコートの仕方が上手だけれど調子が良く、どこか口先だけで行動が伴っていないことがありました」

 3人の中では、一番人と接するのが苦手で不器用なのが藤村さんでした。

「でも、私に対して一番、一生懸命だったと思います。『美味しいお蕎麦が食べたい』と言ったら、あれこれ調べて老舗のお蕎麦屋さんを探したり、毎回、私が楽しめるデートを企画してくださったりしました」

 こうして久美子さんは、大山さんと飯島さんには“交際終了”を出し、藤村さんと真剣交際に入りました。

 しかし、2人の距離が縮まっていくと、彼の違う一面が見えてきました。

 先日、2人で買い物に行ったときのこと。道路に面したドレスショップがあり、ウィンドー越しにレース生地の素敵なウエディングドレスが飾られていました。

 2人で足を止め、「こんなの着たいな〜」と久美子さんが見とれていると、歩きスマホをしていた男性が、藤村さんにぶつかってきたのです。

 男性は、「あ、ごめんなさい」と謝り、スマホから目を離さずに歩いていってしまったのですが、その彼に向かって、藤村さんが大声で言い放ったのです。