「ゴメンじゃないだろう。歩きスマホはしちゃいけないんだよ。歩きスマホするヤツらは、バカばっか」

 久美子さんは、ドキリとしました。

「聞こえるよ」というと「聞こえるように言ったんだよ」と。

 また、ある時の水族館デートの後に夕食を食べることになり、雰囲気の良さそうなイタリアンレストランがあったので、入りました。

 店員さんが、「お席は、禁煙、喫煙のどちらが良いですか?」と尋ねてきたのですが、2つの領域が部屋として区切られているわけではなく、場所が分けられているだけなので、部屋の中にタバコの臭いが充満していました。

 すると、藤村さんは店員さんに言いました。

「この店、タバコの臭いがキツいんで、やめます」

 そして、店を出るとまた言い放ったのです。

「タバコを吸うやつらは、バカばっか!」

 それまで楽しかったデートが一転、暗い雰囲気になりました。

「○○するやつらは、バカばっか」これは、藤村さんの口癖のようでした。

悪態や悪口で人間性が垣間見れる

 心を許しているからこそ、悪口を言う。悪態をついてしまう。それが人間の心理でしょう。

 ですが、その言葉が自分に向けられたものではなくても、悪口や悪態は、その場の空気を暗くマイナスなものにしますし、聞いている側のストレスにもなります。

 久美子さんは、私に言いました。

「100パーセント理想通りで完璧な人間はいません。藤村さんには、いいところもたくさんあるし、今度その言葉を言ったら、はっきりと、『それ、口癖だよね。でも、聞いている私は楽しくないから辞めようよ』と、言おうと思います。もしそれで私たちの関係が終わってしまったなら、それまでかなって」

 距離が近づいているからこそ、ポロリと出てしまう本音。久美子さんに、口癖を指摘されたときに、藤村さんがどんな対応をするかで、このカップルの未来の明暗が分かれることになりそうです。

 人の悪口を全く言わずに生きていくのも、またストレスがたまります。言う相手を選ぶ。言う場所を考える。言い方を工夫する。

 これは、婚活中のカップルだけではなく、人間関係をうまく築いていく上での永遠のテーマなのかもしれません。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/