臓器に記憶って残るのかな

 人間の記憶についても深く考えたそうで。

はたして記憶ってどこにあるんだろうって思いました。臓器移植された人には、ドナーの人の記憶が残っていたり、好きなものや性格が変わったりすることがあると聞いたことがありますけど。

 この怪物の身体は別の人のものでも頭はアンリなので脳はそのままなわけで、人体の不思議じゃないですけど、やっぱり臓器に記憶って残るのかなって

 だからアンリと怪物を演じていて、怪物自身も本当は思い出しているけど、思い出したくなくて忘れたふりをしているのではないか……とか。いろんな考え方ができるようになってきちゃって。この再演をやる際に、アンリと怪物の役作りをもう1回、掘り起こしたいなと思っています」

 初演でアンリと怪物を演じたときに大切にしたことは?

共通していえるのはビクターへの執着心ですね。あとは、二幕で怪物に変貌して出てきたときの表情や声色の印象の違いはすごく意識しました。

 あの優しかった青年が落ちるところまで落ちて地獄を見て、人ならざるものになったというインパクトを与えるってことは大事にしました」

 加藤さんはじめ、メインキャスト全員が一人二役を演じるのも今作の大きな見どころ。

 主演の中川晃教さんと柿澤勇人さんも、一幕ではビクター役、二幕では人間同士を格闘させるギャンブル闘技場を営む悪党ジャック役と、まったく違うキャラクターを演じる。

僕も初めて見たときは驚きました。さっきまでビクターだった人が、いきなりジャックとして出てきて。言い方は悪いですけど、ジャックはほんとにヤバいやつじゃないですか(笑)。

 それぞれがまったく違う二役で、一瞬ほんとは違う人なんじゃないかと思うくらいです。でもそのぶん振り切ることができるので、大変ですが面白いところではありますよね

 思い入れのあるシーンを尋ねると。

正直なところ、全部思い入れがありますね。初めて韓国で見たときに、本当に素晴らしすぎてどのシーンも印象に残ったんですね

 それを自分が演じてなおさらその思いも強くなりましたし、ビクターと関連するシーンはすべて印象深いです。戦場での出会いも、酒場でのシーンも、あげたらきりがないですよ。この作品に対しての愛が強すぎて(笑)