青森の印象を変えた居酒屋

──お店の印象はどうでした?

 めちゃめちゃよかったですよ。すでにほかのお客さんで盛り上がっていたので、最初は「溶け込めるかな…」と不安でしたけど。大将の奥さんだけが僕を知っていてくれて大歓迎されて。そして料理もおいしくて。1回目の青森の食に対する印象がガラッと変わりましたね。

米麹と塩で漬け込んだ「ニシンの切り込み」『酒と料理と人情と。青森編』より 撮影/寺澤太郎
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 鯛うまいでしょ、じゃなくて、ニシンおいしいでしょ、って感じがよかった。「土紋」に限らず、この本で紹介した居酒屋には、“高級食材どうだ!”ってことがまったくないんです。新鮮でしたね。

 なかでも麹漬け全般がおいしい。ニシンもそうだし、筋子もそう。筋子うまいな、って本気で思いましたよ。青森を知るまでは、筋子はしょうゆ漬けのほうがメインだったかな。最近は、イクラじゃなくて筋子を買うようになりましたね。

 だから「土紋」の筋子のおにぎりが好きですね。握り方もいいし、全体の塩味もいいし。いがめんちもおいしいよね。1回ひとりで「土紋」に行ってみたい。ひとりで行ったらどういう頼み方になるのか…。

──著書では「土紋」で、母親である料理家の栗原はるみさんと対談しています。はるみさんも「土紋」の大将夫妻とプライベートなお付き合いがある、と書いてありますが

 年に1回、親子3人旅をしているのですが、2年半前は、父の希望で白神山地に出かけました。そのときの晩ごはんを「土紋」でいただいたんです。

 理由? うちのおやじとおふくろが、大将夫妻の人柄やメニューの気のきいている感じが好きだそうだな、って思ったんで。実際、気に入ってましたね。いまでは、母とおかみさんが食べ物などを直接やりとりする仲にまでなって、僕以上に「土紋」と仲よくなっていますよ。

「居酒屋 土紋」にて。左が土紋の工藤さん夫妻。右が心平さんと母親のはるみさん。『酒と料理と人情と。青森編』より 撮影/寺澤太郎