妥協なき味覚は父親仕込み

──そもそも心平さんが、食を仕事にするようになったのはご両親の影響なんですか?

 うーん、影響はあるんでしょうね。「味噌汁は水と味噌だけじゃないのよ、だしというのがあってね」など、基本は母から教わりました。でも、厳しかったのは父。ひととおり作れるようになったら、細かな味のつけ具合などに関して、非常に厳しかったです。

──その厳しさは、いまでも役に立っていますか?

 役に立っていますね。適当にやってるわけではないけど、少しでも違和感があったときは適当にごまかさずに、全部やり直しています。新しい味をつくるときに、組み立てはあっているんだけれども、分量の配分が違う、ということがたまにある。

 些細(ささい)なことだからそのまま完成にしてもダメではないのですけれど、僕は、ゼロからレシピをやり直す。そのままにしないです。これは父の影響。

 調味料の配分がどうのとはいわないんですけど「味がぼやけている」「何が作りたいんだ」みたいなことをたくさん言われた。結果論ですけど、父の厳しさのおかげで、妥協を許せない体質になりました。

栗原心平さん 撮影/山田智絵
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──最後にひとつ。東京にいると、青森が恋しくなることもあるのですか?

 なりますよ~、虜(とりこ)ですもん。月に1回、1週間くらい続けて行けたらいいなって思ってます。青森にいると、人の温かさに触れることが多くて、1日に1回は幸せな気分になる。お酒や料理はもちろん、青森は人間が最高にステキなんです。


『酒と料理と人情と。青森編』

『酒と料理と人情と。青森編』(主婦と生活社)栗原心平=著 1500円(税抜) ※記事の中のクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします


栗原心平の青森愛が詰まった一冊です。書名のとおり、青森県内の居酒屋や食堂で出会った人たちとの笑いあり涙あり、食べ過ぎあり飲み過ぎありの青森紀行。

栗原心平(くりはらしんぺい)
料理家。株式会社ゆとりの空間代表取締役社長。会社の経営に関わる一方、幼いころから得意だった料理の腕を活かし、料理家としてテレビや雑誌などを中心に活躍。現在、料理番組『男子ごはん』(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。